ID(個人情報)ベース暗号の発展系の1つである属性(attribute)情報ベース暗号では、ペアリング技術を利用している。本研究では、課題であった、ペアリングを利用しない属性ベース電子署名を構成することに成功した。アイデアとしては、当初の研究計画でも提案していた対話側ゼロ知識認証から、Fiat-Shamir技法により、電子署名に変換するものであり、構成方式は現実的なものであるという特徴を有する。(九州先端科学技術研究所・穴田研究員らとの共同研究) この結果を、2014年1月の暗号と情報セキュリティシンポジウムで発表し、さらに2014年6月ACM主催のASIA-CCS2014 のワークショップASIAPKC2014で査読審査」・採択を経て、発表した。 しかし、その後、提案方式では、期待していたプライバーを満足しないという問題があることが課題となった。このため、既存方式と同レベルのプライバシーを満足する改良を研究した。その結果、2つの異なるアプローチをもって、この改良に成功した。改良方式の一部は、2015年1月の暗号と情報セキュリティシンポジウムで発表した。その後の調査で、RSA暗号の場合には、別の手法を用いて、ペアリングを用いずに属性署名を実現している研究が判明し、本研究の提案方式との性能比較も行った。これらの成果は、2015年度中の国際会議へ投稿すべく現在、論文にまとめている。 また、2015年後半に情報通信研究機構国際共同研究プログラムの支援を受けて、Jian WENG教授(中国・Jian大)を招聘し、属性ベース暗号をはじめ、再暗号化への難読化理論の応用に関する結果をえることができた。これらの成果も、2015年1月の暗号と情報セキュリティシンポジウムで発表した。
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