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2013 年度 実施状況報告書

ゲーム論的確率論とランダムの概念に基づく予測理論

研究課題

研究課題/領域番号 25540009
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関東京大学

研究代表者

竹村 彰通  東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (10171670)

研究分担者 宮部 賢志  東京大学, 情報理工学(系)研究科, 研究員 (00583866)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード大数法則 / 重複対数の法則 / 脱ランダム化
研究概要

ゲーム論的確率論は,Shafer and Vovk (2001)の本によって提唱されて以来,さまざまな技術的な拡張が得られて来ている.研究代表者(竹村)、分担者(宮部賢志)および協力者(竹内啓,公文雅之,李靖)によって以下のような成果が得られた.
1) ゲーム論的確率論におけるプレーヤーの一人である Reality の戦略に関しては,標準的な測度論的確率論では対応する概念が無いために,これまであまり詳しい研究がなされて来なかった.Reality の決定的な戦略は,アルゴリズムの分野では脱ランダム化に対応するものであり,ランダムに見える数列を決定的に作るという論理的にも困難な設定を必要とする.この問題に関して,Miyabe and Takemura (2014) "Derandomization in Game-theoretic Probability Kenshi Miyabe", arXiv:1402.5513,にていくつかの具体的な結果を導出した.
2) 2値の現状(例えば雨が降るか降らないか)に対する確率予測(例えば気象庁による降雨確率の予測)は,時系列解析の対象としてこれまでも興味を持たれて研究されて来たが,これをゲーム論的確率論の観点から考察することにより,確率予測の良さの定量的な評価が可能となる.確率予測の統計的モデルとして,ロジスティック回帰モデルをベースとした賭け戦略を考えると,統計的推測理論の諸結果をゲーム論的確率論の観点から応用することが可能となり,性能のよい賭け戦略が得られる.賭け戦略の応用により,気象庁の予測には50%に近い予測値を出すというバイアスの存在することも明らかとなった.この結果は,以下の形で国際学術雑誌に刊行された.
Bayesian logistic betting strategy against probability forecasting. Stochastic Analysis and Applications, 31, 214-234. Masayuki Kumon, Jing Li, Akimichi Takemura and Kei Takeuchi. 2013.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の項目に述べたように,以下のような具体的な研究成果が得られており,研究は順調に進展している.
1) ゲーム論的確率論におけるプレーヤーの一人である Reality の戦略に関しては,標準的な測度論的確率論では対応する概念が無いために,これまであまり詳しい研究がなされて来なかった.Reality の決定的な戦略は,アルゴリズムの分野では脱ランダム化に対応するものであり,ランダムに見える数列を決定的に作るという論理的にも困難な設定を必要とする.この問題に関して,Miyabe and Takemura (2014) "Derandomization in Game-theoretic Probability Kenshi Miyabe", arXiv:1402.5513 の結果を得ている.
2) 2値の現状(例えば雨が降るか降らないか)に対する確率予測(例えば気象庁による降雨確率の予測)は,時系列解析の対象としてこれまでも興味を持たれて研究されて来たが,これをゲーム論的確率論の観点から考察することにより,確率予測の良さの定量的な評価が可能となる.確率予測の統計的モデルとして,ロジスティック回帰モデルをベースとした賭け戦略を考えると,統計的推測理論の諸結果をゲーム論的確率論の観点から応用することが可能となり,性能のよい賭け戦略が得られる.賭け戦略の応用により,気象庁の予測には50%に近い予測値を出すというバイアスの存在することも明らかとなった.この結果は国際学術雑誌に刊行された.

今後の研究の推進方策

これまで研究実績の項目に述べたような具体的な研究成果が得られたが,それらの成果に基づきさらに以下のような研究を推進する予定である.
1) ゲーム論的確率論におけるプレーヤーの一人である Reality の戦略に関しては,標準的な測度論的確率論では対応する概念が無いために,これまであまり詳しい研究がなされて来なかった.この問題に関して,Miyabe and Takemura (2014) "Derandomization in Game-theoretic Probability Kenshi Miyabe", arXiv:1402.5513 の結果を得たが,これはいまだに理論的な結果であり,実際の乱数列を決定的に作った時にどの程度の計算量が必要とされるかの定量的な評価が明らかではない.また,大数法則のみならず,中心極限定理や重複対数の法則などを満たす乱数列の具体的な構成法も明らかではない.このように,Reality の戦略の研究の余地は大きく,今後も研究を推進していく.
2) すでに2値の変数に対する確率予測については Kumon, Li, Takemura and Takeuchi によって具体的な結果を得たが,この結果を一般の実数値変数の確率予測に拡張することは自明ではない.2値の場合にはロジスティック回帰モデルをベースとした賭け戦略を用いることにより柔軟な確率予測が得られたが,実数値の場合には非線形回帰モデルを用いることが考えられる.さまざまな非線形回帰モデルをゲーム論的確率論の枠組みが解釈し,確率予測につなげるための研究を推進する.

次年度の研究費の使用計画

脱ランダム化に関する理論結果の実装のため
脱ランダム化については Miyabe and Takemura (2014) "Derandomization in Game-theoretic Probability Kenshi Miyabe", arXiv:1402.5513, において理論的な結果を得たが,これを具体的な乱数列の発生のために実装する作業が進行中である.実装のためには,計算量理論の観点から Miyabe and Takemura の研究を再度考察する必要があり,かなりの時間がかかる見込みである.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The law of the iterated logarithm in game-theoretic probability with quadratic and stronger hedges2013

    • 著者名/発表者名
      Kenshi Miyabe and A.Takemura
    • 雑誌名

      Stochastic Processes and their Applications

      巻: 123 ページ: 3132-3152

    • DOI

      10.1016/j.spa.2013.03.018

    • 査読あり
  • [学会発表] "An introduction to game-theoretic probability from statistical viewpoint"2013

    • 著者名/発表者名
      竹村彰通
    • 学会等名
      ELC Workshop on Randomness and Probability Through Computability
    • 発表場所
      東京大学,東京都
    • 年月日
      20130514-20130514
    • 招待講演
  • [備考] 竹村彰通 研究紹介

    • URL

      http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/atstat/athp/index.html

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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