研究課題/領域番号 |
25540011
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
狩野 裕 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20201436)
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研究分担者 |
岩崎 学 成蹊大学, 理工学部, 教授 (40255948)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | MAR条件の緩和 / APB / NMARness / 推定方程式の不偏性 / 情報量不等式 / 欠測メカニズム |
研究概要 |
1. 既存の欠損値データ解析の方法論に関してサーベイと理論の再整備を行った.その結果を「NMARの下での尤度法」として出版した. 2. 欠損メカニズムの指定をせずとも一致推定を可能にするためのより弱い条件,すなわち数学的に緩和されたMAR 条件を整理し,それらの数学的・統計学的性質を検討した. 3. MARでない程度を量的に表現するNMARness の統計的性質を検討した.それは不偏性が成立しない程度と定義することができる. 4. 近似理論を用いて定義されたApproximate Population Bias(APB)の統計的性質を検討した. 5. 平成25年9月に大阪大学で開催された統計関連学会連合大会において「不完全データ解析と潜在変数モデル」なる演題で研究成果を招待講演として発表した. 6.平成25年9月に大阪大学において開催された国際会議「Incomplete Data Analysis and Causal Inference」において「Approximate population bias and nonignorable missingness」なる演題で研究成果を招待講演として発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り進行している.
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今後の研究の推進方策 |
1. 平成25年度の理論研究を継続する.特に,欠測指標Rを(0,1)-分布から(0,1) 上の連続分布へと拡張する.対応する観測変数に重みを導入する. 2. 補助変数導入の有効性の検討.MAR が成立せず,かつ,欠損メカニズムを容易に特定できないという状況は多い.このような状況に対する一つの処方箋は,分析目的には直接必要ではないが,分析変数と関連する外部変数をモデルに導入し最尤推定量のバイアスを減少させることである.数値実験等でその有効性が確認されている.ところがこの接近法の理論的な性質は何一つ分かっていない.本研究課題の理論研究において定義されるNMARnessとAPBの関係を応用することによって,理論的に,バイアスが減少するのか,どのような条件の下でそれが期待できるのか,どのような補助変数を選択すべきか,そして,結論として,補助変数法は有効な手法なのか.以上を解明する. 3. ロバスト推定法の開発.前年度に発展させられた理論の重要な応用はロバスト推定である.たとえば,あるYij を外れ値と判断する場合Rij = 0,そうでない場合Rij = 1 と定義し,外れ値はサンプルから除去することを考える.外れ値がYij によって明示的に定義されていれば,(Y;R) の同時分布が導出でき,欠損値データの最尤法が実行できる.この方法の第一のメリットはロバスト推定と観測変数Y のモデリングが独立に行えることである.二つ目は,各データポイント(1 次元) ごとに外れ値の判定ができることである.もちろん,通常のように各オブザベーション(ユニット) ごとに外れ値判定をすることもできる. 4. 研究成果の公表.統計関連学会連合大会を始めとする国内外の学会大会やシンポジウムにおいて研究成果の中間報告を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
本務校の業務により,当初予定していた国際会議での研究発表を中止したため,旅費等に残が出た. 前年度キャンセルした研究発表を次年度,別の会議であるが,発表する予定である.
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