研究課題/領域番号 |
25540025
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鵜林 尚靖 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (80372762)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | ソフトウェアアーキテクチャ / インタフェース / モジュール / 抽象化 / 整合性検証 |
研究概要 |
設計はソフトウェアアーキテクチャの抽象的な記述であり、コードはその設計を実装したものである。設計は「適切に」抽象的でなければ意味がないが、「適切な」レベルを発見するのは容易ではない。本研究では、インタフェース機構Archfaceを発展させ、設計とコード間の整合性検査をトリガーに反復的に両者のバランスを再考し「滑らかに」抽象レベルを決定するための技術を明らかにする。「滑らかな設計抽象化」を実現するための機構は、1) 抽象レベルを設定するためのArchface、2) 抽象レベルを測定するためのメトリクス、3) 設定した抽象レベルを保持しつつ設計とコードの整合性を検証するための機構、の3本柱で構成される。平成25年度は、Archfaceのための型システムについて研究を行った。Archfaceではプログラムモジュールだけでなく設計モデルもモジュールと考えるため、設計モデルとコードの両方に対して機能する型システムを構築する必要がある。我々の型システムではArchfaceはアーキテクチャ点を公開すると考える。モジュールとしての設計モデルがそのインタフェースすなわちArchfaceに適合しているとは、設計モデルの中に公開されたアーキテクチャ点に対応する設計点が含まれていることを意味する。一方、クラスなどのプログラムモジュールがArchfaceに適合するとは、公開されたアーキテクチャ点に対応するプログラム点がコード中に存在する場合である。また、抽象レベル測定のためのメトリクスについては、設計点、プログラム点、アーキテクチャ点の間の比率として算出する方法を考案した。現在、本研究と並行して、Archfaceベースの統合開発環境iArchを構築しており(基盤研究(B)にて開発)、今回の型検査アルゴリズム、抽象レベル測定メトリクスをこの開発環境の中に実装した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
型検査アルゴリズムおよび抽象レベル測定メトリクスを考案するだけではなく、統合開発環境iArchの中に組み入れるところまで実施したため、「当初の計画以上の進展」と評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の方針として、型検査アルゴリズムの改善および理論面での掘り下げを行う。現状の型検査アルゴリズムは、アーキテクチャ点集合、設計点集合、プログラム点集合の包含関係しか見ておらず、簡易すぎるという問題がある。実際、iArchへの実装では、単純な包含関係だけではなく、各点の間の制約まで見て検査を行っている。現状では、この制約はまだ整理しきれておらず、今後の研究課題である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究成果の発表を予定している国際会議 Modularity'14(13th International Conference on Modularity)が2013年4月に開催されるため、年度内での使用を差し控えた。Modularity'14 には、私と学生の2名が参加する予定であり、次年度使用額(B-A)相当の金額が必要となる。 上述のように、平成26年度早々に使用する。
|