研究課題/領域番号 |
25540027
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
杉山 安洋 日本大学, 工学部, 教授 (70246841)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ソフトウェア / 高可用性 |
研究概要 |
平成25年度は,システムの一部の部品に異常が発生した場合でも,システム全体の異常終了を防ぎ,システムの機能を最大限に維持しつつ実行を継続できる,柔らかなソフトウェアのモデルを構築した. 本研究における柔らかなソフトウェアの実現方針は,オブジェクトの仮想化である.現代のソフトウェアは数多くのオブジェクトと呼ばれる部品を組み合わせることにより実現されている.本研究で提案するオブジェクトの仮想化とは,オブジェクトの外部インタフェースと,その内部処理を明確に区別し,異常の発生したオブジェクトをシステム全体から切り離すことを可能とするだけではなく,外部インタフェースが同じであれば,内部処理が異なるオブジェクトとの入れ替えを可能とするシステムモデルである.仮想化によって,もとのオブジェクトには無かった機能や能力を必要に応じて追加できるようになった. 同時に,ソフトウェアの実行時の健全性を確認する手法についての研究を行ない,オブジェクトの内部処理の状況や内部状態の変化に基づく健全性の判定手法を明らかにした.一般的に,オブジェクトの健全性は,規定通りの機能を提供しているかにより判定する必要がある.しかし,従来の手法では,オブジェクト自身が外部に対して何も状態を通知しないと健全性の検証はできない.今回は,オブジェクトの内部の状態の変化や処理の状況を継続的に観察することにより,オブジェクトの健全性を検証するモデルを実現した. これらの手法により,ソフトウェアの健全性を確認しながら,異常の発生したオブジェクトを切り離したり,別のオブジェクトに入れ替えながら,システム全体としての機能は維持できるソフトウェアの縮退実行モデルを構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は,システムの一部の部品に異常が発生した場合でも,システム全体の異常終了を防ぎ,システムの機能を最大限に維持しつつ実行を継続できる,柔らかなソフトウェアのモデルの構築を目標としていた.現代のソフトウェアは数多くのオブジェクトと呼ばれる部品を組み合わせることにより実現されている.オブジェクトの仮想化を提案し,オブジェクトの外部インタフェースと,その内部処理を明確に区別し,異常の発生したオブジェクトをシステム全体から切り離すことを可能とするだけではなく,外部インタフェースが同じであれば,内部処理が異なるオブジェクトとの入れ替えを可能とするシステムモデルを構築できた.そのため,研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,平成25年度に明らかにしたソフトウェア構成モデルに基づいてソフトウェアを開発するための開発ツールを研究する.方式としては,(1)新しい構成法を実現するためのプログラミング言語を開発する(2)実行時システムに柔らかなソフトウェアを実現する機能を持たせる(3)プログラム変換ツールにより既存のソフトウェアをやわらかなソフトウェアに変換する,という3つの手法などが考えられる.これを25年度の成果をもとに,どの方式を採用するかを含めて検討し,実装作業を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末にパソコンを購入予定であったが,より高性能な新モデルの発売開始が間近であると予想された.しかし,学内の事務処理の期限から,発売を待っていると年度内導入が難しいと判断されたため,購入を次年度に延期することとした.年度末は,学生の入れ替え時期にあたり,研究室内の既存の設備の稼働率に余裕がでてくるため,購入を延期しても研究の進捗には影響無いと判断した. 翌年度の始めにパソコンの新モデルを購入する.
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