研究課題/領域番号 |
25540036
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
青木 輝勝 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (00302787)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 画像マッチング / モーションブラー / ズームブラー / 静止画動画融合 |
研究実績の概要 |
本研究では、静止画(雑誌紙面など)と関連動画(スマートフォン動画)を連携付けた新しいメディアを創生することを目的とし、その要素技術として「スマートフォンを雑誌紙面上に移動し置くまでの間に動画を撮影し、この動画から取り出した情報を検索キーとして関連動画を指定する」ための画像マッチング技術を開発する。画像マッチング手法については、現在、局所特徴量を用いた研究開発が盛んに進められているが、既存方式はいずれも静止画同士の画像マッチングに最適化されており、本システムのように高速移動するカメラ(スマートフォン)で撮影された映像を対象とするとマッチング精度が著しく劣化してしまう。このため本研究では、動画固有の画像劣化(モーションブラー、対象物の急激な拡大など)への対応を考慮した新しい画像マッチング方式を研究開発する。 平成25年度はこのための一方策としてOFB(Optical Flow based Blurring)と呼ぶ新方式を提案し、簡易実装を行った。 平成26年度は、より最終ゴールに近い解として、LIM(Local Image Moments)と呼ぶ画像モーメントを局所特徴量化する新方式を提案した。画像モーメントを用いると、モーションブラーを含む各種ブラーへの頑強な特徴量を抽出することができるが、元来画像モーメントは大域特徴量であるため、これを本研究の目的に合うように局所特徴量化する必要がある。しかしながら、画像モーメントを単純に局所特徴量化すると、境界効果をはじめとするいくつかの問題が発生してしまうためその実現は容易ではない。LIMではこの問題を解決するための基本理論の構築を行ったものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
LIM(Local Image Moments)と呼ぶ画像モーメントを局所特徴量化する新方式について、理論構築を進めたが、この方式は、理論的にもエレガントで、かつ、演算コストもOFB(Optical Flow based Blurring)などと比較して100倍以上高速であり(どの程度高速化するのかはデータベース内に登録されている画像量に比例するが、一般に画像量が多いほど相対速度は上昇する)、より実用的な提案だと言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に開発したLIM(Local Image Moments)で培った理論を基礎として実装、実証実験を進めることにより、問題の解決が図れる予定である。早期に実装、実証実験を進めるとともに、学術論文としてこの成果をまとめ、知的財産権の確保などについても検討を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通りの予算執行が行われている(次年度使用額は予算全体の1%未満であり、この程度の誤差が生じることはある意味当然である)。
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次年度使用額の使用計画 |
実証実験を進める際の人件費(アルバイト料)に利用する予定である。
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