本研究は、タブレット端末に代表されるようなコンピュータ上でペンを利用した手書き入力可能な環境である「デジタル手書き環境」において、電子ドキュメント上への手書きによる注釈書き込み(手書きアノテーション)を検出・認識する手法を考案し、手書きアノテーション支援システムの設計およびアノテーション情報活用の基盤となる認識技術の構築を目指すものである。 2年目かつ最終年度となる本年度は、前年度の成果である手書きアノテーション認識モデルの検証、および提案認識モデルを使用した知的手書きアノテーションフレームワークの開発・評価を実施した。 まず前年度の成果である手書きアノテーション認識モデルの検証では、国内会議で速報として発表したモデルについて、ドキュメント要素のグルーピングや範囲選択・情報付加入力の分離といった論文化にあたって重要となるアルゴリズムの妥当性に関する検証が不十分であった。本年度は被験者を追加した上でさらなる検証を実施し、論文としてまとめた。 また本年度においては、提案したアノテーション認識モデルをもとに、実際のデジタルドキュメントに対する手書きアノテーションで利用可能となる、知的手書きアノテーションフレームワーク「Intelligent Ink Annotation Framework」の開発を実施した。提案したフレームワークでは、デジタルドキュメント上での手書きアノテーションにおいてユーザの意図を検知しアノテーションを支援する枠組みや、記入したアノテーションの構造を認識し検索等へのアプリケーションに対応できるものである。本提案は国際会議にて発表をおこなった。
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