本研究は,特異な方向依存反射特性をもつ表面の微細形状を生成するための,形状創生理論の構築を目指すとともに,実物の作成実験によりその適用効果を検証することを目標としている. 本年度(最終年度)は,積層造形あるいは切削加工で作成できる微細形状について,理論と実体形状との比較検証を中心に研究を進めた.また,これと並行して,形状とその見え方に関連した種々の研究を進めた.以下に成果を示す. 1.積層造形による微細形状: 3Dプリンタあるいは切削加工機を用いて,光源方向もしくは視線方向ごとに反射特性を独立に制御できる微細形状について,シミュレーションによる解析と,作成した実体形状との比較を行った.理論どおりの見え方にならない理由として,作成後の変形(反り)や稜線部の丸みなどの加工上の問題,光源の方向精度の問題,形状表面における相互反射の影響などが判明した. 2.形状とその見え方に関連した種々の研究: 様々な3次元表面形状が,錆などの経時変化,反射や屈折などの光学現象,人間の視覚特性により特異な見え方をしたり見栄えが変わったりする諸現象や,2次元形状変形を利用した各種可視化提示手法に関し,いくつかの研究成果が得られた.
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