研究課題/領域番号 |
25540053
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
吉澤 壽夫 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 助教 (20262503)
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研究分担者 |
廣林 茂樹 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (40272950)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脳科学 |
研究概要 |
本研究では、工学系で広く利用されているアナログ信号のフーリエ変換(FFT)に比べ、10万~100億倍以上の精度の向上が見込まれるNHA(Non Harmonic Analysis: 申請者等が考案した非周期信号のフーリエ変換式への最小二乗法の適用に基づく周波数分析法)を拡張し、1次元をはじめとした多次元の不等間隔データを正確に解析する信号解析ソフトウェアを開発し、脳科学の分野でも利用されている光トポグラフィーや、脳波計(Electroencephalogram:EEG)などの脳機能マッピング装置に応用する。特にこのようなソフトウェア技術によって、不等間隔計測データを正確に解析し、生体内部の様々なノイズに強く、特定の動作に伴う信号を抽出するための信号解析法を確立ため、当該年度は以下の項目に関して検討を行った。 ① 1次元不等間隔サンプリングデータの信号解析法の開発 現在の等間隔サンプリングデータで成功したNHAを不等間隔のサンプリングデータに応用する。NHAは最小二乗法を用いたカーブフィッテングの手法を取り入れているが、目的値に近い周波数を初期値として与えなければならず、これは連続信号のフーリエ変換を数値解析的に、台形積分を用いることで解決した。 ② 2次元不等間隔サンプリングデータへの拡張 2次元では、連続信号のフーリエ変換式が2重積分になる。これは数値解析的に、隣接する3点の離散データの体積を求める問題と等価になるため、領域分割問題のドロネー三角形分割を用いて、初期値を計算し、任意の不等間隔サンプリングデータにも対応した2次元NHAを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた、計測装置のチャンネル間の冗長性の集約に関しては、次年度に行うことにした。
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今後の研究の推進方策 |
以下の検討を行う。 ③ 計測装置のチャンネル間の冗長性の集約・・・一般に、計測装置の各チャンネル間の中心点を中心に感度分布が得られるため、中心点から離れた位置の脳情報ほど観測し難くなり、また計測信号間に情報の重なりが見られてしまう。これを2次元NHAによって周波数特性を正確に解析し、各チャンネル間の冗長性を集約する。 ④ 空間的分解能を補う正確な補間技術・・・冗長性を集約した各チャンネルの計測データから、チャンネル間に非定常的な空間方向の変動を仮定し、NHAによって空間的な波の形状を決定することで空間的分解能を補う、より正確な補間技術を開発する。 ⑤ 客観評価と連携した新しい脳の反応モデルの検討・・・発火反応部位を正確に推定するためには、ある部位の発火によって時空間的に広がる微小な反応を追跡する必要がある。④によって得られる空間的に密な信号に対して、時間方向にもNHAを適用することで微小な変化を検知し、信号源を推定する技術を開発する。また、脳波情報に対して本手法を適用することで得られた信号源の位置と、解剖学的知見等から特定されている信号源の位置を比較することで、客観的に脳の反応モデルの妥当性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
計測装置のチャンネル間の冗長性の集約を行う実験計画を遅らせたため。 次年度以降に遅れが生じた実験を行う予定である。
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