A) 老化のビデオカタログの作成:1989年から収集している野生(タンザニアのマハレとゴンベ、ギニアのボッソウ)と飼育下(京都大学霊長類研究所、京都大学野生動物研究センターサンクチュアリ、京都市動物園)のチンパンジーの行動記録ビデオテープを順次ハードディスクに取り込み引き続きファイル下を進めた。この過程で現在高齢となっているある野生個体の若年時の行動記録を発見することができ、長期記録映像を用いて個体の一生を追跡する研究の発想を得た。 B)移入個体の新たな環境への適応過程の観察:京都大学野生動物研究センター熊本サンクチュアリ及び京都市動物園において、他施設から移入した個体の行動の観察及びビデオ記録を継続した。 C)ロコモーションを用いた身体的老化の指標の作成:前年度にひきつづき、京都大学野生動物研究センターサンクチュアリと京都大学霊長類研究所においてデータの収集を行った。京都大学霊長類研究所で新たな大型ケージが稼働し、連結通路の使用が頻繁になったためサンプル数を増やすことができた。これによって、同一個体でも日や時間帯による変動が予測以上に大きいことがわかり、もっと個々の事情に注目すべきとの発想を得た。 D)新奇な給餌装置の操作:熊本サンクチュアリにおいて給餌装置のテスト運用を行った。これを用いたデータの収集に関しては問題点が多数見つかったが、その過程で環境エンリッチメントへの貢献ができた。
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