研究課題/領域番号 |
25540066
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
廣林 茂樹 富山大学, 大学院理工学研究部, 教授 (40272950)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 計測工学 |
研究実績の概要 |
工学系で広く利用されているフーリエ変換(FFT)に比べ、10万~100億倍以上の精度の向上が見込まれるNHA(Non Harmonic Analysis: 申請者が考案した非周期信号のフーリエ変換式への最小二乗法の適用に基づく周波数分析法)を用いて、低磁場でもMRIで鮮明な断層撮影を実現するソフトウェア解析技術を開発した。具体的には、従来のMRI装置では観察することのできなかった、任意の微小空間の観察に関する基礎的な検討と仮想的な計算機シミュレーションデータを用いて検証実験を行った。現在のMRI装置では、FFTの分解能を超える微細な観察対象の画像化は不可能である。FFTの分解能を向上するためには、高磁場や多点計測が必要となり、解析する際の解析窓長によって再構成画像の品質が決定される。しかし、NHAはFFTよりもはるかに高い分解能を有しており、分解能が解析窓長に依存しないというアドバンテージがある。つまり、NHAを用いることで、解析に必要なデータ数の削減と超分解能を達成できる可能性がある。そこで、まずNHAによる微細領域の可視化を検証するため、本研究では低磁場環境を想定したコンピュータシミュレーションによる検証実験を行った。検証実験では、MRI計測データのデータサイズを制限し解析に用いた。高磁場計測データを削除した低磁場計測データを利用することで、FFTの分解幅以下の断層画像を解析し画像再構成を行い、低磁場MRIでのNHAとFFTの分解能に関して検討した。NHAは単一スペクトルの場合、分解能が解析窓長に依存しないので、低磁場環境下であっても高分解能を維持することが可能になることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通りに遂行したが、追加の実験を行う必要がでてきた。
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今後の研究の推進方策 |
MRI装置における実証実験とその評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
MRI画像は測定された信号に対して窓関数を用いてフーリエ変換することで断層図を得ている。したがって、空間分解能を向上させるためには、分析窓の中に多くの周期が入ればフーリエ変換後の点像関数は鮮明になる。しかし、MRI画像において、その窓の広さは勾配磁場の強度によって制限される。研究代表者は既に、点源検知によるFFTとNHAの分解能比較を行っており、既存のMRI画像より微細な領域の可視化について検証を行った。MRIでは、計測データの大きさが磁場強度に依存し、FFTの分解能は計測データの大きさによって決定されるが、NHAを用いることで、ピクセル以下の領域を表現することができ、より微細な領域を観察できる可能性を見出した。そこで、さらに点源を複数配置したファントムデータを用いて、実際の体内構造に近い微小モデルで定量的な評価を行う必要が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
研究では、数値ファントムを用いたコンピュータシミュレーションによって検証を行うことで、生体計測では評価の難しい、ファントム物体の位置評価に関してNHAが正確に解析可能であることを示す。その後、計測データを用いて、仮想的な低磁場解析に関して検証を行う予定である。
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