研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究の目的は,物体と手との接触点が複数ある場合にもPseudo-Hapticsによって深部感覚を擬似提示可能な手法を確立し,多様な触り方に対応可能な視触力覚ディスプレイを実現することである.申請者らは,物体に触れる手の接触点位置を時間的・空間的に変調した映像をフィードバックすることでPseudo-Haptics を生起し,実際とは異なる形状の物体表面に触れる感覚を提示可能なシステムを実現した.一方従来研究では,接触点が複数ある場合,変調後の接触点間の空間的整合性が崩れるため,所望のPseudo-Haptics 効果が得られないという問題がある.本研究では物体と手の間の複数の接触点間の空間的整合性がとれるよう,接触点位置だけでなく手形状を自然に変形する手法を実現し,多様な触り方を許容可能な視触力覚システムの構築と実証を行う.本年度は,接触点が複数ある状況下においてもPseudo-Hapticsを生起可能にするための視覚フィードバック生成アルゴリズムとして,多点での接触に関して,指の開きや姿勢をリアルタイムに適切に変形させることで,空間的に整合性のとれた視覚提示を生成し,Pseudo-Hapticsを生起させるアルゴリズムを開発した.このアルゴリズムの効果の検証として,従来手法を用いて一指だけでなぞった場合と,提案手法を用いて二指でつかんだままなぞった場合について,それぞれどの程度形状を変化させて知覚させることができるかを実験により検証した.その結果,提案手法では従来手法と同程度の形状知覚操作が可能であることを明らかにした.また,面圧力分布の測定が可能なセンサをなぞる物体の表面に配置し,物体に触れる手の接触点位置を時間的・空間的に変調した映像をフィードバックする際の指の動き方や圧力のかけ方に変化があるかを調べたところ,視覚フィードバックに応じて実際の指の動き方が微小に変化していることを明らかにした.
2: おおむね順調に進展している
計画通り順調に研究が進展しているため
これまでに多指での接触時にもPseudo-Hapticsを生起させて形状知覚を操作する手法に関して,構築と被験者実験による評価が順調におこなわれているため,引き続き同じ体制で研究を推進し,目的の達成を目指す.
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Presence: Teleoperators and Virtual Environments
巻: Vol. 22, No. 3 ページ: 255-270
doi:10.1162/PRES_a_00154