研究課題/領域番号 |
25540077
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣瀬 通孝 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (40156716)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 形状提示 / 手形状変形 / 感覚間相互作用 / Pseudo-haptics / 触力覚提示 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,物体と手との接触点が複数ある場合にもPseudo-Hapticsによって深部感覚を疑似提示可能な手法を確立し,多様な触り方に対応可能な視触力覚ディスプレイを実現することである.申請者らは,物体に触れる手の接触点位置を時間的・空間的に変調した映像をフィードバックすることでPseudo-Hapticsを生起し,実際とは異なる形状の物体表面に触れる感覚を提示可能なシステムを実現した.一方従来研究では,接触点が複数ある場合,変調後の接触点間の空間的整合性が崩れるため,所望のPseudo-Haptics効果が得られないという問題がある.本研究では物体と手の間の複数の接触点間の空間的整合性がとれるよう,接触点位置だけでなくて形状を自然に変形する手法を実現し,多様な触り方を許容可能な視触力覚システムの構築と実証を行う. 本年度は,昨年度構築した映像中の手姿勢をリアルタイムに自然に変形させる手法を拡張し,体験者がバーチャル物体の形状を動的に変形させた際にも,その変形に応じて自然に手映像が変調されるような手法を構築した.具体的には,物理的刺激を提示する為に実際に体験者に触らせる物体表面に圧力センサを貼り,それから得られる圧力値や物体の変形に応じて映像中の指位置を変調するためのマップをリアルタイムに生成し,それを基に表示される手映像の姿勢を変調させた.この変調により映像内に生じうる空間的不整合を解消でき,バーチャル物体の変形量が様々に変化し,その変形に手の姿勢もあうような自然な視覚刺激を生成できる.実験の結果,本手法により掴んでいる物体に対する硬さ知覚を操作できることが明らかになった.また,圧力センサの値から,映像中の物体の変形量を操作する事で実際に指にかかる圧力が変化していることがわかり,Pseudo-Haptics効果の生理指標として本手法が有用であることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に,多様な形状提示手法を統合した統合型デバイスを構築し,生理指標を用いて効果を検証して成果を学会発表する予定であったが,生理計測の結果複数の生理指標の組み合わせによってPseudo-hapticsの客観定量評価が可能であることわかったため,新規デバイス構築より既存デバイスで多様な状況で生理指標を取得し,汎用的な客観的定量評価手法確立を目指すこととした.当初計画とは異なるが,計画を上回る新規の重要な知見が得られているため総合評価としては順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は未使用額を使用し,形状提示手法を統合したデバイスの構築と汎用的客観定量評価手法に基づく効果の解析,および学会発表を次年度におこなうこととする.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に,多様な形状提示手法を統合した統合型デバイスを構築し,生理指標を用いて効果を検証して成果を学会発表する予定であったが,生理計測の結果複数の生理指標の組み合わせによってPseudo-hapticsの客観定量評価が可能であることわかったため,新規デバイス構築より既存デバイスで多様な状況で生理指標を取得し,汎用的な客観的定量評価手法確立を目指すこととしたため,未使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
このため,形状提示手法を統合したデバイスの構築と汎用的客観定量評価手法に基づく効果の解析,および学会発表を次年度におこなうこととし,未使用額はその経費に充てることとしたい.
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