研究課題/領域番号 |
25540081
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
竹本 篤史 京都大学, 霊長類研究所, 研究員 (20263056)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脳波 / SSVEP / フリッカー / ヒューマンインターフェース / ヒューマンコンピュータインタラクション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、定常的視覚誘発電位を用いた脳-コンピュータ・インターフェース(SSVEP-BCI)に、フリッカーの知覚限界を超える高周波数フリッカーの視覚刺激を導入することによって、ちらつきの不快感を感じないSSVEP-BCIを開発することが可能かどうかを調べることである。平成25年度は、注視位置の記録が可能な刺激呈示システムを開発し、実験系が確立できた。平成26年度は、輝度変化のチェッカーボードパタンを刺激を刺激として、フリッカーの時間周波数、空間周波数を主な実験変数として、脳波を測定する実験を行った。さまざまな探索を行うために、一般的な脳波研究とは異なり、研究者本人を被験者にして、多数回の測定を行うという方略を取った。その結果、融合閾を超える高時間周波数に対するSSVEPが、刺激の空間周波数によってどのような変調を受けるか、組織的かつ詳細なデータを得ることができた。SSVEP-BCIで通常用いられる後頭部の少数のチャンネルではなく、全頭をカバーする73チャンネルで測定を繰り返し、頭部MRIデータを用いることによって、SSVEPの脳内での発生機序について解析が可能となった。実験遂行を通して、不可視フリッカーSSVEP-BCIを開発する上で克服すべき問題点もいくつか明らかになった。最も大きな問題はフリッカー刺激の空間パタンに関する問題である。フリッカーが見えない高時間周波数刺激でも、空間的に急激に輝度変化があるとその部分にエッジが見えてしまうことである。チェッカーボードパタンは、大きなSSVEPを発生させるが、シャープな空間エッジがあるため、この問題が生じる。そこで、どのようなパタンを導入したらよいかの検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初考えていた以上に、高時間周波数でも発生する空間エッジの問題が深刻なため、その解決を探るのに時間がかかってしまった。そのため、注意によるSSVEP変調の実験、色度変調の実験に進むことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
バンドパス・フィルタリングしたチェッカーボードパタンを使用して、再度、少人数被験者で輝度変調に対するデータを測定する。次に、視覚的注意によって、高時間周波数SSVEPが変調可能かどうかを調べる実験を行う。実験変数のサンプリング点を、クリティカルなものに限定し、多人数の被験者で実験を行い、標準データを得る。同様の実験を、色度変調の刺激に対しても行う。以上の実験結果を基に、不可視フリッカーのSSVEP-BCIの実現可能性について結論づける。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、実験者を被験者にした探索的な実験に終始した結果、当初計画の多人数の被験者を用いた実験を遂行することができなかった。そのため、謝金が未使用になった。また、多人数被験者のデータの取得とその解析結果を得てから学会報告等を行う必要があり、そのための旅費を使用することがなかった。これらの理由で、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、実験の被験者に支払う謝金、および研究成果報告に使用する計画である。
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