平成27年度は、ユーザが柔軟物体を指先で押しこむ際に、映像投影によって視覚的にその変形具合などを変調することで、柔らかさの触知覚を変調可能かどうか、またそれが可能な場合、どの程度正確に操作できるかどうかを調査した。具体的には、柔軟物体を押し込んだ際に、物体表面のテクスチャの変形具合を視覚的に変調することで、その物体の柔らかさ触知覚を変調する技法と、押しこむ指先の色を赤色に変化させる技法を組み合わせて、柔らかさ知覚を操作する技法を開発した。そして、テクスチャの変形量を変えながらその際の柔らかさ触知覚を調査して、元の柔らかさ・投影変形量・触知覚する柔らかさの関係をモデル化した。これにより、元の柔らかさが既知で、目的となる柔らかさを設定すると、投影すべきテクスチャの変形量を求めるシステムを開発した。クッションや布地など、6種類の異なる柔軟物体を用いて、目標となる柔らかさ触知覚を呈示できるかどうかを調査する実験を行った。その結果、平均して、人が知覚できる柔らかさの差の80%程度の誤差で、所望の柔らかさを提示できることが確認できた。 本研究成果は、複合現実感分野の最難関国際会議にて口頭発表に採択された他、当該分野のもっとも重要な雑誌であるIEEE Transaction on Visualizations and Computer Graphcisへも採択されるなど、国際的にも高い評価を受けた。
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