研究課題/領域番号 |
25540085
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
松原 崇充 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (20508056)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 表面筋電位 / 筋電ロボットインタフェース / 動作識別 / 姿勢変化 / 時系列カーネル |
研究概要 |
本研究ではユーザの筋電位信号から動作意図を読み取り,ロボット等の直感的操作を可能にする筋電ロボットインタフェースについて,従来技術では困難であった動作意図-筋電位信号間の対応関係に重大な影響を及ぼす1)姿勢変化, 2)発汗, 3)筋疲労の要因に頑健な動作意図認識手法の確立を目的としている.このような手法の開発により、筋電ロボットインタフェースの実用性と汎用性を飛躍的に向上させる画期的な技術の確立が期待できる.平成25年度では,姿勢・発汗・筋疲労センサや詳細な人体モデルを必要とせずに,時間的・空間的な伸縮を許容する距離計算法に基づくパターン識別技術によって筋電時系列に内在する動作意図を頑健に認識する手法を開発した.具体的にはSVMなどのカーネル法による動作識別器の構成を前提に、姿勢や動作時間が異なり得る状況下において、それぞれの単一動作から計測された2つのEMG時系列データに対して、時空間伸縮を許容して類似度を与える「ガウシアン時空間整列カーネル」を考案した。これを用いて5人の被験者について2chのEMG計測器を用いた5動作の識別実験を行い、標準的な従来技術と比較して、姿勢や動作時間の変化に対する提案手法の頑健性を確認した.その成果は国内論文誌に採択された.また、次年度に多数動作の識別実験を展開するため、16chのEMG計測器を購入するとともに、計測や解析に必要なソフトウェアを開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の実施計画において平成25年度に実施予定であった「パターン認識アルゴリズムの開発」について、予想を上回るペースで推進できた.その理由として、研究当初に考えていた、筋内部に誘発される筋活動電位の時系列信号はおおよそ共通であるという仮説に基づいた距離計算法である、ガウシアン時空間整列カーネルが実験的にも上手く機能したためである。そのため、平成26年度に実施予定であった「被験者による性能評価実験」の一部である、姿勢変化に対する頑健性の実証を達成できた.さらに、次年度の研究で使用する16chのEMG計測器のソフトウェア環境を整備することができた.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度である平成26年度は,アルゴリズムの拡張と有効性の実証実験を平行して実施していく。まずは前年に開発したアルゴリズムについて、筋疲労および発汗に関して頑健性を有するかどうかを検証するための被験者実験を実施する。もし十分な頑健性が確認できない場合、実験データに基づいて筋疲労や発汗の現象を詳しく調査しながら、アルゴリズムの拡張を検討する。また、前年度に整備した16chのEMG計測環境を用いて、10動作の識別問題について被験者実験を実施する。チャンネル数に応じた計算量の増加によりインタフェースのリアルタイム性が損なわれる場合には、チャンネル数の次元削減を検討する。これによって、本研究の目的の達成を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は研究の推進および次年度用の実験機材準備に焦点を置き、当該学会での研究発表を次年度に先送りしたため。 当該学会での研究発表に使用し意見交換および情報発信を行う。
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