本研究課題では、喉頭摘出などにより音声を発声できない発話障害者の直面している音声コミュニケーションが難しい問題を解決する新しいインタフェースとして、口唇の2次元的な動きを高精度に計測するマスク型ウェアラブルデバイスlip motion sensing mask(LIMOSK)の開発およびLIMOSKを活用したサイレント音声インタフェースの開発を目的としている。 口唇の動きを計測するためのセンシング手法を確立するため、複数種類の磁石と磁気センサ(ホールIC)を用いて特性計測実験を実施した。その結果、本課題に適した磁石を選定するとともに、磁石および磁気センサに個体間の差はあるもののおおよそ同じ特性であることを確認した。さらに特性計測実験結果より、磁気センサのモデル化を行った。これにより磁気センサの出力値より磁石までの位置推定を実現した。 次に市販マスクサイズを参考に32個の磁気センサをアレイ状に配置し、高速多チャンネルAD変換器を用いて、複数磁気センサの出力値を同期して計測するLIMOSKのプロトタイプを製作した。さらに磁気センサの出力値を可視化するツールを開発した。開発ツールを用いて磁気センサの出力より磁石の位置を推定する問題に取り組み、磁石2個に対して平均誤差2mmで磁石の位置推定を確認した。
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