研究課題/領域番号 |
25540091
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
坊農 真弓 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 助教 (50418521)
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研究分担者 |
緒方 広明 九州大学, 基幹教育院教育実践部情報科学部門, 教授 (30274260)
高梨 克也 京都大学, 学術情報メディアセンター, 研究員 (30423049)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 科学コミュニケーター / リフレクション / 知識伝達 / ラーニングログ / メタ認知 / 日本科学未来館 |
研究概要 |
本研究の目的は,未来館のSCと来館者の「展示物を取り囲むインラクション」を分析し,さらにその一つ一つのインタラクションを客観的に評価するフレームワークを構築することである.そこで得られた知見をもとに,多人数インタラクションの理論とモデルを構築する. 平成25年度は,次の3つのテーマに基づいて進めてきた.テーマ1:多人数インタラクション理解に基づくSCの評価尺度開発(担当:坊農・高梨),テーマ2:SCによる活動記録の効果的利用環境の構築(担当:緒方),テーマ3:SCに対するコミュニケーションスキルトレーニング環境の開発(担当:全員+SC). テーマ1では,(1) 1.5ヶ月から10ヶ月までのキャリアの新人SCトレーニングプログラムと連動したSC活動データ収録とリフレクションデータ収録,および(2) 熟練SCのSC活動データ収録とリフレクションデータ収録の二つを行った.(1)では,年間を通して,SC24名のフロア収録(16日間,142回,データ量40.9GB), SC31名のリフレクション収録(16日間,17回,データ量80.68GB)を行った.(2)では,2014年2月から3月の間に10名程度のキャリアの長いSCを対象に,ビデオカメラ6台(環境カメラ5台,手持ちカメラ1台),マイクロフォン7本(環境マイク4本,ワイヤレス3本),身体動作収録機器Kinect5台を設置した環境で来館者とのやり取りを映像収録した(会話は35組).本データ収録の際,当初は予定していなかった自然言語処理と画像処理の研究者の協力を得,インタラクション研究と自然言語処理研究との融合,インタラクション研究と画像処理研究との融合を試みた. テーマ2では,平成25年度に,未来館のSCの人に協力してもらい,SC36名645件(2014.2.25現在)のラーニングログを登録してもらった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要で示したとおり,当初は予定していなかった自然言語処理と画像処理の研究者の協力を得,インタラクション研究と自然言語処理研究との融合,インタラクション研究と画像処理研究との融合を試みた.また総合研究大学院大学学融合事業として本プロジェクトプロジェクトの一部(教育プログラク開発部分,上記のテーマ3)が支援され,研究が格段に進んだ.これらの理由により,本研究プロジェクトは当初の計画以上に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は平成25年度に収録したデータの整備を進め,SCという専門職従事者の知識伝達のあり方を認知科学,社会学,言語学の側面から明らかにすることを予定している.具体的には,35組の会話データ(SCを含め,平均3人からなる平均15分程度の会話データ)の発話部分をアノテーションソフトウェア(ELAN)上で会話分析を援用した手法で書き起こし,身体動作部分を同じソフトウェア上でマルチモーダルインタラクション研究を援用した手法でマルチモーダルアノテーション情報を施す.平成26年度中は書き起こしと身体動作アノテーションを別々に実施するが,平成27年度にはそれらを統合させ,さらにはSCスキルトレーニング資料としてインタラクション研究者以外にも利用可能な可読性の高い形で整備する.その資料に基づき,SCに対して研究成果をフィードバックするとともに,熟練SCのスキルを明示化する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,2月と3月にデータ収録を実施したため,被験者に支払う謝金を概算していた.データ収録の結果,当初より被験者人数が少なかったため,平成26年度使用額が生じた. 平成26年度使用額については,収録したデータの書き起こし,アノテーションの作業謝金として使う予定である.
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