前年度に引き続き基盤技術開発を行うと共に、下記の実問題の分析結果を反映させ、想定外のリスクとチャンスを分析対象にした可能世界ブラウザの実問題応用への手法開発を行った。 (1) 市場制度設計: 数時間から数日間までの比較的短期間の市場の不安定性という、まれに起こるリスクを予防するための市場制度設計の手法を開発した。高頻度市場データを分析して、ユーザに制度や取引戦略と市場安定性の関係を提示し、制度設計で設定すべき要素を示唆するための応用技術を開発した。ユーザが要素を考慮しながら、新たな市場制度や取引戦略を提案し、人工市場シミュレーションにより制度が市場安定性に与える影響を評価する技術も開発した。 (2) マーケティング応用: 数週間から数カ月間の特定商品ブランドのマーケットシェア急増という、まれにチャンスを引き起こすためのマーケティング戦略を探るために可能世界ブラウザを応用する実証研究を行った。研究協力者から抵抗されたPOSデータ分析結果をもとにしたエージェントベースのマーケティングシミュレーションを構築する。そして、ある商品分野を対象として、あるカテゴリ商品に関する様々なシナリオをシミュレーションで作り出し、どのようなタイプのエージェントが態度変容するかによって、商品の発注ルールの有効性と機会損失の程度が変化することを分析した。
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