研究課題
本研究の目的は,覚醒下脳外科手術における執刀医の意思決定システム開発のための手術事象の解析とモデル化の手法を開発することである.研究代表者と協力関係にある東京女子医科大学先端生命医科学研究所(TWINS)の伊関教授・村垣教授らのグループによる全面的な支援を受けて,同グループによってこれまでに実施された数百例の覚醒下脳腫瘍摘出手術の記録映像を対象にして,熟練執刀医の検査処理手順を自動解析するための画像・音声情報処理技術の研究開発を行なった.画像処理については,手術記録動画像中で医師が患者の脳表面を電気刺激したときのタイミングと画像中の脳表面の電気刺激位置を自動検出する画像処理手法を開発した.これによって,これまで人手による検出に1手術当たり8時間程度を要していたが,数分以下でそれを達成することができるようになった.次に脳表面を撮影したカメラ角度や手術の進行度が異なる複数のシーン中で刺激位置を2次元的に対応させる実験を行なうことによって,1回の手術における異なるシーン中の対応付けを可能にした.さらに,2次元である脳表面の画像と,あらかじめ患者に対して撮影した3次元MRI画像との対応付けに必要な特徴点抽出手法を開発して有効性を確認した.また,音声情報処理については,手術時に録音された音声データから,電気刺激時に装置から発生する非常に小さい電子音を検出して刺激タイミングを検出する音声情報処理方式を開発した.これにより,動画像処理と合わせて実行することで,検出精度と信頼性をさらに高めることができた.以上のように,本研究では覚醒下脳腫瘍摘出手術における執刀医の皮質マッピングプロセスの自動解析のための画像処理および音声情報処理を開発することで,執刀医の暗黙知の形式知化に必要な手法を構築してその有効性を確認することができ,当初の予定通り遂行することができた.
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