研究概要 |
分散配置されたハードウェアのネットワーク全体で、高階の述語計算を行う方法を提案した。高階の述語を両辺に持つ規則で書き換える機構を実現するのに、計算ノード上にスイッチ、状態記憶と演算回路を配置する。規則中のリテラルLi, Ri が、「(引数1, …,引数p)」と記述されるとする。通常、引数1に述語名を書くが、変数を置くことで高階の柔軟な処理をする。ルールの形式は、「 L1, …, Lm :- R1, …, Rn. 」とする。この形の規則を注意深く記述することで、各種の論理や代数の計算が行える。エキスパートシステムで用いられたプロダクションシステムに似ているが、作業記憶を分散配置することで、分散システムにも適した方法となる。 本年度は、計算ノードをパケットスイッチと単純なハードウェアで構成し、「1アーク書き換え」をメッセージのやりとりだけで、行う手法について考察し、査読付きの国際会議で発表した。その内容は会議録に採録され、出版を準備中である。並行して、FPGAキットを購入し、ハードウェアで実現できるかどうかについても、考察を進めた。現在、共同研究中の企業が、人工知能とFPGAの活用に詳しいので、将来の本格的なシステム構築への布石として、相談を持ちかけた。申請者の所属する大阪大学産業科学研究所では、ベルギーのルーベンカトリック大学が運営するimec と共同で、次世代エレクトロニクス技術の開発を進めている。また、ルーベンカトリック大学のコンピュータ科学科には、論理と機械学習の専門家が多く在籍しており、共同研究を開始している。これらを訪問すると同時にベルギーで開催された国際ワークショップにおいて招待講演を行うことにより、議論を行った。さらに、人工知能学会誌2014年3月号に、知識表現のための記号処理についての哲学的背景を含めた解説を執筆した。
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