研究実績の概要 |
分散配置されたハードウェアのネットワーク全体で、高階の述語計算を行う方法を提案した。高階の述語を両辺に持つ規則で書き換える機構を実現するのに、計算ノード上にスイッチ、状態記憶と演算回路を配置する。規則中のリテラルLi, Ri が、「(引数1, …,引数p)」と記述されるとする。通常、引数1に述語名を書くが、変数を置くことで高階の柔軟な処理をする。ルールの形式は、「 L1, …, Lm :- R1, …, Rn. 」とする。この形の規則を注意深く記述することで、各種の論理や代数の計算が行える。エキスパートシステムで用いられたプロダクションシステムに似ているが、作業記憶を分散配置することで、分散システムにも適した方法となる。またこの方法によれば、センサネットワークのセンサ間で信憑の候補をやりとりすることが可能になる。すなわち、セマンティックセンサネットワークの構築が容易となる。 本年度は、計算ノードをパケットスイッチと単純なハードウェアで構成し、「1アーク書き換え」をメッセージのやりとりだけで、行う手法について、論文を出版した。並行して、購入済みのFPGAキットを用いて、ハードウェアで実現できるかどうかについても、考察を進めた。共同研究中の企業が、人工知能とFPGAの活用に詳しいので、将来の本格的なシステム構築への布石として、議論を行った。申請者の所属する大阪大学産業科学研究所では、ベルギーのルーベンカトリック大学が運営するimec と共同で、次世代エレクトロニクス技術の開発を進めている。このため、imec の生物系の研究者との共同研究を行い、ネズミの脳のデータについて検討した。また、ルーベンカトリック大学のコンピュータ科学科には、論理と機械学習の専門家が多く在籍しており、共同研究を開始している。これらを訪問すると同時にフランスのナンシーで開催された国際ワークショップにおいて、議論を行った。
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