研究課題
本年度は,宇宙線によるビット反転を利用してプログラムを進化させるオンボードコンピュータ(On-Board Computer: OBC)に,条件分岐やループ構造を含む複雑なプログラムの進化を可能にする手法を探究するために,次の課題に取り組んだ.[課題3] レジスタ同士の計算を含むプログラム進化 (16命令語):昨年度に実施したときよりもレジスタのビット反転に耐性のあるプログラム進化を実現するために,1つの計算用レジスタを使用する四則演算に加えて,計算結果用レジスタを 2つ使用するadd(足し算),and(論理和),sub(引き算),mul(掛け算)の命令語を追加する.具体的には,レジスタ CXとDXを用いた 16種類の命令語から構成されるプログラム進化を試みる.このような二つのレジスタを含む命令語を使って実験したところ,提案システムはレジスタのビット反転が起こる可能性が倍になってもプログラム進化を可能にした.[課題4] アセンブリ言語でのプログラム進化 (33命令語):本アプローチの実応用可能性を検証するために,実際のアセンブリ言語(Microchip Technology 社のPIC10に組み込まれている12ビット,33命令のアセンブリ言語)の命令語を扱えるように拡張し,プログラム進化の可能性を明確化する.各命令は16個の汎用レジスタと1個のワーキングレジスタと呼ばれる一時レジスタを持ち,それぞれ32ビットの符号なし整数値を持つ.PIC10のアセンブリ言語を用いた実験をしたところ,提案システムは16命令と同様にプログラム進化に成功した.[課題5] 総合評価:今までの成果を統合して総合実験をしたところ,提案システムは(a)正常プログラムにビット反転が起こっても元に戻れること,(b)バグを含むプログラムが正常プログラムに変化すること,(c)予期せぬときに,その状況にあわせてプログラムを修正できることが明らかになった.これらの機能は実問題において重要な役割を果たすため,工学的に意義の高い成果と言える.
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New Mathematics and Natural Computation,
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