研究課題/領域番号 |
25540117
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清水 正宏 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (50447140)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 知能ロボット |
研究概要 |
本研究では,マッキベン型空気圧筋群の自発的リズム協調を実現する「協同的スティックスリップ現象による空気圧人工筋オシレータの開発を提案」する.生物は,多くの筋肉の緊張制御を行う必要がある.同時に,それらのリズムを協調させて筋群のシナジーを起こすことで,適応的な振る舞いを実現している.このデバイスは,空気圧制御により駆動するマッキベン型空気圧人工筋をベースとする.アクチュエータ内部の空気圧に降伏して起こるスティックスリップ現象を起こす機構を導入することで「非線形振動」の性質を併せ持つ.これにより,従来の人工筋では不可能だった,人工筋群の力学的相互作用による相互引き込み現象を起こすことが可能となる. 平成25年度は,空気圧人工筋オシレータを複数つなげることにより,跳躍ロボットの評価実験を行った.本デバイスの力学モデルをモデル化し,人工筋肉群の挙動をモデル化された非線形振動現象として記述した.平成25年度は,この実機実験をとおして,引き込み領域の大きさ,外乱に対するロバスト性といった非線形振動子としての特性を評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マッキベン型空気圧筋群を実装した2脚の跳躍ロボットによるロバスト性に関する実験を行っており,この結果を論文投稿中である.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,空気圧人工筋オシレータにより,2脚ロボットを制御する.ここでは,連続跳躍における,跳躍タイミング生成を,空気圧人工筋オシレータによる筋シナジーにより生成する.ヒトが跳躍や着地といったダイナミックな運動を安定に実現できるのは,自身がもつ身体構造や制御系が大きく貢献しているためであると考えられている.ヒトは着地と離地のタイミングが左右脚で全く同時になることはなく,数10 ms の差があっても安定に連続跳躍できることが報告されている.ところが,ヒトはセンシングしてから脳で判断し,筋肉に出力するまで一般的に数100 ms を要するといわれており,着地タイミングの左右差に対応することは難しい.一方で,上位中枢を介さない脊髄反射は,センシングしてから筋肉に出力するまで数10 ms である.ロール方向の安定な運動には,脊髄反射のような遅れの小さい応答が重要であると考えられる.着地運動においては,脊髄反射の中でもヒラメ筋が顕著な伸張反射を示すことが知られている.伸張反射とは筋の急激な伸張に対して,その筋が無意識のうちに収縮する現象であり,筋の伸張速度と変位に応じて張力を発揮するといわれている.着地運動におけるヒラメ筋の伸張反射は着地から約35 ms 後に開始し,100 ms 程度持続する.以上から,本研究では着地運動時の伸張反射に基づく床反力の左右差が,跳躍着地運動におけるロール方向の運動の安定化に寄与しているという仮説を提案する.この仮説の検証のために,着地運動時に先に着地した脚のヒラメ筋の自然長を収縮させることで伸張反射を表現し,この伸張反射がロール方向の運動の制御に有効であることを確認する.
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次年度の研究費の使用計画 |
跳躍ロボットの開発において,計画変更が生じ,H25年度購入予定の電子部品・機械部品を次年度に変更することになったため. 跳躍ロボットの開発に必要な,電子部品・機械部品を購入し実験を行うことで,研究を遂行する.
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