初年度は, 多チャンネルヘモダイダイナミクスのカオス・フラクタル性の高精度な抽出技術の確立,ならびに,多チャンネルデータの収集装置とヒトの感性に係る脳活性部位と発生メカニズム解明のための可搬型(総重量:1kg以下)の光電融合型感性・意思情報計測システムの開発を主たる目的として研究を進めた.まず,22Chの近赤外分光計測(現有設備:(株)日立製作所HOT-121B)と12Chの小型脳波計測装置で光電融合型アフェクティブインターフェースを構築した.さらに,全頭型近赤外分光装置(で光学的に補完的計測を実施することにより,高次感性(深い感性)ならびに,意思情報(例えば,車椅子の方向制御)の計測精度補償を行い90%以上の高い識別率を実現した. 初年度の研究成果を踏まえて,特に,喜怒哀楽といった感性(感情)に加えて,“心地よさ”や“つややかさ”,驚き,軽蔑,恐怖感,ストレス等の高次の心理状態に係る感性解析を行い,先述の脳波(EEG)と近赤外分光手法(NIRS)の統合システムを構築する.本研究課題で提案する光電融合型アフェクティブロボット制御技術は,未来のBCI技術において不可欠であるだけはなく,高齢化・福祉社会支援の観点から身体障害者の生活支援機器として渇望されている.また,近赤外分光計測による,酸化・還元ヘモグロビン濃度の揺らぎがカオス性を有しており,被験者に課せられたタスクに応じて,そのカオス強度の指標である,リアプノフ指数を変化させるというこれまでの我々の知見を活用し,光電融合型ブレインアフェクティブインターフェースを実現するものである.さらに,処理速度の向上を目指し,カオスニューロンのハードウエア化並びにHDLによる高速制御を実現し,リアルタイム計測を可能とすることに成功した.
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