視覚提示行動解析システムのソフトウェアおよびハードウェアを構築して、小型魚類のゼブラフィッシュ、メダカに加え、ヒメイカに対して画像提示を行い、その応答による行動変化を自動的に記録するVRシステムの構築を行った。動画の動きによる行動変化の解析を現在行っており、興味を持って近づく特定の画像提示パターンをいくつか見出すことができた。注意を解析する予定であったが、遺伝子改変による小形魚類の作成に困難が生じたため、このシステムの一部を使用してメダカにおけるセロトニン神経細胞の機能解析をおこなった。セロトニンは神経伝達物質のひとつで、マウスにおいて不安様行動等のいくつかの行動に関与していることが知られている。そこで、作製した行動解析システム構築および評価の目的でメダカにおけるセロトニン神経の役割の解析を行った。薬理学的にセロトニン経路を抑制し種々の行動解析テストを連続して行ったところ、いくつか行動テストにおいて異常がおこることを明らかにした。遺伝子破壊を行うことでセロトニン神経の活動を低下させた魚類を用いて、同様の行動変化が起きるかどうかを検討中である。また神経活動計測のために、セロトニン神経のマーカーとしてセロトニン合成酵素およびプロモーター領域の単離を行い、現在神経活動解析のための遺伝子改変動物を作成中である。
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