平成26年度は、潜在的に翻訳されるRNAが生物学的な意味を持つのかを考察した。non-coding と考えられていたlnc-RNAの一つは、over-expressionさせると細胞周期の亢進が観察された。これを細胞レベルで観察した結果、short peptideの発現が確認された。これに加え、マウス以外の生物種でも保存されているかどうかESTに対してtblastxを行って確認したところ、マカクなどの霊長類だけではなく、ウシ、ラット、あるいはゼブラフィッシュといった脊椎動物での存在が認められ、種を超えてで保存しており潜在的に生物学的な意味を持つ可能性が示唆された。一方、潜在的に翻訳されるRNAすなわちribosome分画に多く存在するRNAについて、情報抽出を試みた結果、たとえばヒストン等が多く存在する傾向にあることがわかった。しかしながら、これはヒストンが優先的に翻訳されるというよりも、ヒストンRNAにはポリAがないことから、cDNA合成の際のポリA選択のバイアスによる可能性が指摘された。また、これらのデータのうち潜在的なORF配列をデータベース化し、ダウンロードで利用できるようにした。さらに、転写開始点データベースDBTSSには、polysome-seqのデータを取り入れ、polysomeでの存在を確認できるだけでなく、SNP、転写開始点情報、ヒストンメチルか情報との対応も容易に観察できるようになっている。また、本件に関して現在論文投稿中であり、reviseの段階である。
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