研究課題
今年度は以下の2点に関する研究を行った。1.隠れマルコフモデル(HMM)の前向きアルゴリズム計算を安全に行う方法の実装・評価を行った。ゲノムシーケンシングコストの低下により、疾患に関する遺伝子の研究や、個人ゲノムを用いた診断などが行われるようになってきた。本研究では隠れマルコフモデル(HMM)に対して、加法準同型性暗号を用いて安全に前向き計算を行うアルゴリズム(Secure Forward Algorithm)を適用することを提案する。Secure Forward Algorithmでは、ゲノム部分配列を所持する人とHMMを所持する人の二者が、互いの持っている情報を一切共有せずに部分配列の周辺化確率を得ることができる。計算機実験により、暗号化を適用しない通常のForward Algorithmと比較して、誤差率0.047%という高い精度で安全な計算を行うことが示された。更にこれを応用することによって、プライバシーを保護した状態でゲノムから疾患リスクの評価などを行うことができると考えられる。2.配列ペアワイズアラインメントを安全に行うための方法の実装・評価を行った。配列ペアワイズアラインメントは、生物配列を比較するための基本的にな方法である。本研究では、Needleman-Wunshアルゴリズムのスコアを安全に計算するための方法を実装し、実際のデータを利用して評価を行った。本研究では、通信部分に関しても実装を行い、計算全体与える影響について詳細に調べた。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
BMC Bioinformatics
巻: 16 ページ: S6
10.1186/1471-2105-16-S18-S6