研究課題/領域番号 |
25540136
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
鈴木 倫保 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80196873)
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研究分担者 |
石塚 智 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 准教授 (40124804)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 局所脳冷却 / てんかん |
研究概要 |
本研究の目的は、全般性てんかん発作に対する局所脳冷却が引き起こす発作抑制効果を実験的に検証し、理論的に解明することである。局所脳冷却は、異常脳活動が一部分に限られる部分発作のみならず、脳全体で起こる全般発作をも抑制する可能性を有している。しかし脳全体が同期的に興奮している全般発作が、なぜ脳の一部の冷却で抑制されるかについては不明であり、現象の解明も既存のアプローチでは困難である。そこで、てんかん性異常脳波の非線形性に着目し、動物実験と数理モデルによるシミュレーションの双方より脳の冷却が引き起こすダイナミックな状態遷移を調べることで、全般発作に対する局所脳冷却の発作抑制メカニズムの理解に繋げる。 平成25年度は、bicucullineの腹腔内投与によるGTCけいれんモデルに対する局所脳冷却を実施した。ラットの右体性感覚運動野上にペルチェ素子からなる冷却デバイスを慢性留置した後、bicucullineによるけいれん誘発後、局所脳冷却を実施することで、けいれん発作抑制効果を確認した。15度以下まで脳表を冷却することによって、一過性に全般性のけいれんと異常脳波の両側性の抑制効果を確認した。一方で、冷却から一定の時間を経過すると、冷却中であってもけいれん発作と異常脳波が再起し、冷却による抑制は一時的であった。Geneticな全般発作モデルにおいては、異常脳波の開始部位が体性感覚運動野であることが示唆されているため、次年度では、Geneticモデルを用いた実験の必要性の検討と、これまでに得られた実験データを用いたシミュレーションモデルを実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全般性のけいれん発作を誘発する動物モデルにより局所脳冷却の影響について詳細に評価することができた。 数理モデルを用いた解析については初年度で得られたデータを用いることで、期間内に目的を達成できる見通しが立った。
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今後の研究の推進方策 |
初年度には十分行えなかった数理解析を集中的に実施する。 また、Geneticな全般発作モデルにおいては、異常脳波の開始部位が体性感覚運動野であることが示唆されているため、次年度では、Geneticモデルを用いた実験により、異なるタイプの全般発作に対する影響を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
in vitroの電気生理実験よりもin vivo実験に時間を費やしたことから、当初の予定よりも試薬の購入が少なくなり、次年度使用額が生じた。 次年度の生理実験に必要な試薬やセンサー類の購入に併せて使用する。
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