本研究では,現在深刻な社会問題となっている「ネットいじめ」の発生原理を理解することを目的として,ソーシャルメディアサイト (Spring.me)におけるユーザ間のコミュニケーションを分析した.まず,ソーシャルメディアサイトからテキストデータを自動的に収集し,データベース化するウェブクローラを開発した.次に,開発したウェブクローラを使ってユーザ間のコミュニケーションデータを自動収集し,分析対象とするデータセットを構築した.続いて,構築したデータセットを単純なテキスト処理により分析・分類した.その結果,比較的高い頻度で中傷的表現が利用されていることや(11.9%),そのような表現を利用するユーザが多く存在することが分かった(13.5%).今後の課題として,中傷的表現を頻繁に用いるユーザを含む社会ネットワークを,重み付き有向グラフで表現し,ネットワークの特徴を分析することが挙げられる.研究期間内に実施したネットワーク分析では,統計的に有意な特徴は抽出できなかった.今後様々な指標や観点から分析を進めていく予定である.
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