本研究では、1.マンガメタデータフレームワーク(MMF)に関する基礎的研究、2.ディジタルマンガの構成方式、3.マンガ制作の上流工程支援、4.ディジタルマンガの読書環境を主たる研究項目として研究を進めた。平成26年度においては、1に関して、マンガへのアクセス性を高めるユーザインタフェース等の基盤として、前年度までの成果を基礎としてWork実体の同定のための新しいデータモデル、ストーリーとその記述内容を基礎とするメタデータに関する研究等を進めた。2に関して、Linked Open Dataの視点からマンガを捉えることでディジタルビデオ等の異種コンテンツとのリンクのための基盤づくりの試みを進めた。3.に関して、ディジタルマンガの制作過程をモデル化し、それに基づく制作支援ツールの開発を進めた。4.に関して、前年度に引き続き、マンガへのアクセス支援と内容の記述のためのマンガに関するオントロジーの研究、ならびにディジタルマンガのためのディジタル書棚に関する研究を進めた。 本研究全体を通して得た主要な成果は、(1)マンガ制作の上流過程において作成されるいろいろな作成物を蓄積し再利用することの有用性とその過程を支えるツールが持つべき基本機能を明らかにしツールを、試作したこと、(2)ディジタル環境におけるアクセス支援に役立つマンガに関する情報を書誌データの視点、コンテンツの視点等から検討し、それらを組織化し、形式的に表し、さらにそれに基づくアクセス支援ツールを試作したこと、(3)異種の文化的ディジタルコンテンツ間をLinked Open Data技術を利用して結ぶためのメタデータに関する基礎的な知見を得たことである。 なお、本研究から得た成果は、2年間で学術雑誌論文2件、査読付き国際会議発表3件、著書1件、学会口頭発表10件、国際会議招待講演2件において発表した。
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