研究課題/領域番号 |
25540159
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐藤 哲司 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (70396117)
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研究分担者 |
関 洋平 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (00348468)
手塚 太郎 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (40423016)
若林 啓 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (40631908)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アクティブラーニング / 教え合い / 受講状態のモニタリング / 受講状態のフィードバック / 高次な機械学習 / コミュニケーション支援 |
研究概要 |
1.数十名の大学生に対する意識調査を実施し、受講者相互の教え合いを促進するには、匿名性と開示範囲を制御する自己開示制御機能が重要であるとの知見を得た。この知見に基づいて、講師と受講者および受講者相互のコミュニケーションツールを設計、一部機能を実装・評価した。 2.学習者の受講状態を講師にフィードバックするための受講状態モニタリング手法を検討し、重心(体重)の移動および上体の前傾姿勢を計測する装置を開発し、講義を聴講している聴講状態と計算問題に取り組んでいる黙考状態で、有意な差が検出できるかの実験を行った。また、教材に対して学習者がどれだけ集中して取り組めているかを定量的に評価するため、集中力を要する課題の成績に対して外的環境がどのような影響を与えるかを検証する実験に取り組んだ。これらの実験から、時間変化していく過程を分析することで、授業環境の設計に関して示唆に富む結果を得ることができた。 3.受講者ノートのテキストから意味のまとまりをもつフレーズを抽出する手法を提案した。受講者ノートの解析では概念や実体を表す複合語が多数出現するため,単語を単位とした解析手法には限界があるため、人手での辞書作成を必要とせず、教師なし学習によりフレーズやチャンクを抽出手法が、受講者の理解度の解析において重要な役割を果たすと期待している。 4.受講者間のコミュニケーションの基盤技術として,読者間の交流を促進する技術について開発を進めた。学習環境への応用は今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学習者相互の教え合いを実現するコミュニケーションツールの開発では、学習者を募っての評価実験、観察までは至ることができなかったが、基本設計は完了するとともに、当初予定していなかった学習者の意識調査を実施することができている。 受講状態のモニタリング環境の構築は完了し、少人数ではあるが受講状態の計測まで実施することができているので、次年度は、状態数を増やす、実験参加者を増やすなどした信頼度の高い実験を行うことができる状態まで到達することができている。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に実施した基本検討、ならびに、構築したモニタリング環境を使用して、更なる実験を繰り返してデータを蓄積する。実験を繰り返していく過程で、実験内容を徐々に現実の教室空間に近づけていくとともに、遠隔での受講を含めたハイブリッドな環境での実験にも挑戦していく。講義内容について、理解度の高い受講者群と低い受講者群とで、受講ノートに現れる違いを観測し、低い群から「分からないこと(質問)」を抽出し、高い群から回答を引き出すための方法論を検討する。得られた回答を低い群に提示するタイミングは、学習意欲の維持・向上に大きく影響すると思われることから、このタイミング設計も重要な課題である。 受講ノートから理解度を判別するために有効な特徴量を抽出する手法を検討する。また、講師と受講者へのフィードバックを行う際の意思決定を適応的に行う強化学習手法の適用の可能性を検討する。授業内容に依存してフィードバックエージェントの表面的な特性は異なることから、当該年度に提案した、異なる環境に適用可能な知識を考慮した強化学習手法が有効と考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験環境の構築で必要となるケーブル類の購入を次年度に繰り越したため。 国内および海外の学術会議に参加するための会議参加費および、それに伴う出張費・宿泊費が主な用途である。それ以外に、繰り返し実行することを予定している実験参加者への謝金を想定している。
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