研究課題/領域番号 |
25540161
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
松本 豊司 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 准教授 (20173908)
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研究分担者 |
佐藤 正英 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 教授 (20306533)
森 祥寛 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 助教 (20397178)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 性格特性 / 学習パターン / グラフィカルアウトカム表示 / LMS / eラーニング / グループ実習 / プレゼンテーション / KINECT |
研究概要 |
我々は、「情報処理基礎」の授業における「情報倫理とネットワークセキュリティ」の教材と試験の学習記録を使って学習パターンの解析を試みた。解析は教材の閲覧回数、試験の実施回数、回答に要した時間を対象に行った。なお、教材の閲覧と試験はLMSで何度でもでき、合格するまで受けなくてはいけないものであるので、なんらかの基準を取って比較すると、学生個々の特徴を検出できることが予想された。解析の対象は、松本の授業を受講している学生の協力者16人とそれらの学生が所属している6学類(791名)とした。教材の閲覧回数、試験の実施回数、回答に要した時間の791名の平均と協力学生のデータとの差をソートした結果、7つ学習パターン(LP1~7)に分類できた。この結果から、LP2,LP3,LP5,LP7の学生には熟達型学生向け教材を、LP1,LP4,LP6の学生には衝動型学生向け教材を提供すると効果が見込まれることが推測できた。LMSの学習記録から抽出できない学生の性格についてはMBTI(Myers-Briggs Type Indicator)を出来る限り簡略化して取得を試みた。グループワークを伴う情報系授業向けアンケート(12の設問)を自作・実施し、その結果をレーダーチャートで学生に見せ、確認を行った。その結果、確認に回答した学生の41.7%が自分の思う性格と違う点があると指摘した。これを踏まえて、次年度の授業では本当の性格について回答するように指導し、かつ確認を行えば簡易な方法でも利用可能と確証を得た。プレゼンテーション評価、教材提示機能の作成については、KINECTを用いて、TEDTalks in 日本語などの秀逸なプレゼンテーション動画を参考に、学習するひな形のシステムを作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画の基本的な部分は達成でき、その成果を国際学会に投稿を済ませ、アクセプトされた。また、プレゼンテーション評価、教材提示機能の構築の研究補助を担当している学生が、その内容を教育システム情報学会の学生研究発表会で発表し、優秀発表賞を受賞した。 しかし、グループワークに利用する性格情報の抽出が今年度の授業には間に合わず、予定した、学習パターンを組み合わせて、学生が学習を成功させているであろう学習スタイルの抽出に着手できなかった。この理由は、研究目的からすると厳密な学生の性格を抽出する必用はないが、出来る限り正確な性格を抽出したいという気持ちから、心理学におけるタイプ論の理解に時間を要したためである。そのため、グループ学習を伴わない授業における調査にも取り込めていない。
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今後の研究の推進方策 |
学習感、性格特性、学習スタイルなどの分類は先行の研究者間でも諸説あり、どの程度グループワークを伴う授業やグループワークを伴わない授業において当はまるか平成26年度に検証し、必要なら改善・作り直しを行い、できる限り実用に耐えるものに成長させる。実践を伴う適応教材提示機能研究については、平成25年度の研究成果にしたがって、平成26年度の授業において学習者自身の個人差(熟慮型と衝動型など)とそれに対応した教材の適性を試験する。プレゼンテーション評価機能については、インタフェースを実用に耐えるよう改良を急ぎ、外交性と内向性など性格面などとの適正、評価方法の確立行う。我々が既に開発したグラフィック表示を用いたアウトカム評価システムにおいて性格情報を表示することは基本的にできることは確認したが、学生、教員のサポートの意味で完全ではない。具体的にはおのおのの性格情報がどんな意味を持っているか、リンクをクリックして確認できるようにするなどの改善が必要である(全体の説明はリンクをクリックして確認可能)。また、教師が教授方略の変更、学習ストラテジーを指導するための情報を得られるようにするにはどのようなグラフとすれば効果的かの検討を行い、実装し、検証実験を行う。 プレゼンテーション評価・支援機能の研究において予定している研究は、スケルトンジョイントの移動量計測でジェスチャー認識・評価データの取得方法の確立、習熟者と初心者のスケルトンジョイントの前面、天井からの比較による評価、顔面位置、特に顔の向きの追跡によるプレゼン時の聴衆の顔を見渡す動作の評価方法の確立、音声認識機能を用いた声の評価方法の確立などを試みる。そして、その評価に関連づけられた適応動画教材提示機能の開発を行い、検証実験をできるかぎり行う。 得られた成果については、国内外の学会で発表を行い、関連研究者に情報提供する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の基本部分の遂行に時間を要したため、大量のデータ整理のために必用な高性能PCのおよび、教材作成用ソフトの購入を次年度としたためである。 研究の進行とそのときの成果を冷静に見極めて、次年度において最大の研究成果を得るべき執行の予定です。
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