研究課題/領域番号 |
25540166
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研究機関 | 北海道情報大学 |
研究代表者 |
酒井 雅裕 北海道情報大学, 医療情報学部, 准教授 (20520323)
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研究分担者 |
田山 淳 長崎大学, 教育学部, 准教授 (10468324)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 学習支援システム / 認知行動療法 / メディア技術 |
研究実績の概要 |
本研究は、ネットワークによる「つながり」の力を「メンタルヘルス」の指導過程に還元する実効性検証を目的としている.平成26年度構築予定であった「認知行動支援アプリケーションの構築」を目的とし,十分ではないもののシステムとして稼働ができた. 本研究での低強度認知行動療法システムは,Moodleを基盤として実装されている.Moodleの基本機能をベースに,本研究で必要な,ユーザ登録・ユーザとのコンタクト機能・後述のe-learningコンテンツと行動記録等の全機能もMoodleで実装した.このe-learningコンテンツの主要なパートは二つからなる.第一のパートは認知行動療法を学習可能なe-learningコンテンツである.とりわけ,認知行動療法の「認知再構成技法」である「コラム法」の習得がこのコンテンツの主たる目標である.コンテンツは,全5回の認知行動療法に関する考え方の学びと,実際のコラム法の解説,記録方法の自習 pdf コンテンツから構成されている.各回には既読確認ボタンがつけられており,システムの管理者はユーザの学習進捗が管理できる.第二のパートは,ユーザの実際の行動記録である.緊張緩和を測る呼吸法の実践と脈拍チェックによるストレスコントロールに併せて,コラム法による心理状態の推移の記録を,5週間にわたって実践し,認知再構成の技法を自主学習する.この基盤システム「認知行動支援システム」の他に,モバイル側からアクセスするアプリケーションも実装している.市販されている活動量計の心拍数を自動的にシステムに送り,脈拍チェックに役立てている. このようにシステムは完成したが,実証実験に至っていない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度に構築予定の「認知行動支援アプリケーションの構築」完成が,研究代表者の多忙と機関異動が重なり,研究実施が断続された結果,システムの完成が約1年ずれ込んでしまった.システムそのものは昨年の秋頃には完成していたが,自主学習用のe-learningコンテンツの完成度を向上させるため,変更と調整に時間が必要であった.併せて,研究実施機関内の研究倫理申請審査を含む実験手続きが遅れ,実験環境が整った段階ではあるが,実験を開始できない状態である. 現在,再度研究倫理審査を申請し審査の開始と結果を待っている段階である.研究実施の承認がされ次第,実験に取りかかり有効性の検証を進めたい.
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今後の研究の推進方策 |
現在残されている研究課題はシステムの有効性の実験とソーシャルマッチ援用の手法の確定である.システム有効性の実験は先述したとおり,現在研究倫理審査の開始と結果を待っている.研究実施の承認がされ次第,実験に取りかかり有効性の検証を進めたい. ソーシャルマッチ援用の手法は,学習システム上で一定のコントロール下で「励まし」や「記録の振り返り」をまずは実験の中で展開し手法確定まで進めて行ければと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
予算額との相違は特にシステム開発および実験の謝金など人件費が未執行となった点が大きかった.27年度までに,当該システム開発で使用する機材・ソフトウエア,関連実験で使用する可能性を見越し,機材を購入して予算の適切な執行を図ってきた. 最も大きな原因は,当該研究で開発するシステム及びアプリケーションの開発進度が遅いことが原因で,現在,有効性検証の実験が開始できず予算執行に至っていない.
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次年度使用額の使用計画 |
現在,実験開始のための研究倫理審査を申請し,審査開始と結果をまっている.研究実施の承認がされ次第,実験に取りかかり有効性の検証を進めることで,一定の適切な執行がはかれると考えている.その他,28年度は本補助事業で開発したシステムのアウトラインを学会で発表し,承認後の実験実施まとめ,論文化・発表などが控えており,その面でも経費が必要とされる.これらを計画通り実施すれば,28年度中に執行が可能になると考えている.
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