研究課題/領域番号 |
25540170
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊藤 裕之 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (40243977)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 漫画 / アニメ / 動きの表現 / 心理学 / 視覚 / 運動知覚 |
研究概要 |
本研究は、わが国の漫画やアニメにおける動きの表現について、その使われ方と妥当性について、現状調査に基づき、実験的検討を行うことを目的としている。H25年度は、漫画(静止画)における動きの表現の実際の使われ方について調査した。日本国内で発行されている漫画雑誌(週刊誌および月刊誌)で50万部以上の発行部数をもち、書店の店頭で容易に入手可能なH25年12月発行の漫画雑誌(「少年ジャンプ」、「少年マガジン」等)を10誌選定し、掲載されている223タイトル4587ページにおける全てのコマ(21493コマ)について動きを感じさせる表現の使用実態を調査した。多重像、身体のバランスの崩れ、ボケ・かすれ、物体の後ろにつく線、物体の背景につく線、放射線等についてその頻度をカウントした。その結果、ほぼすべてのタイトルにおいて、多重像による動きの表現はほとんど用いられていなかった。「コロコロコミック」等比較的低年齢向けの雑誌において線による動きの表現が多く、タイトルによっては87%のコマになんらかの動きを示す線が加えられていた(平均約40%)。集中線と軌跡を表す線、背景の直線とボケなど、複合的な使用もこれらのタイトルに多くみられ、タイトルによっては、56%のコマに複数の種類の動きを表す表現が用いられていた(平均約13%)。低年齢層(特に男の子)向けのタイトルでは、文字情報より動きを表す派手な線に頼った描写が多く用いられる傾向が読み取れる。現代日本の漫画雑誌は、静止画としての絵の中にアニメ風な動きの描写を表現しようとしていると考えられる。 静止画から動きを知覚する錯視(追従眼球運動追従錯視)について、線やドット等さまざまな背景を用いてその効果を実験心理学的に調べ、錯視の特性を数量的に測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、漫画雑誌における動きの表現法の使用実態を把握することができ、その複合的使用が大量に使用されているのを確認できた。それに加えて、静止画から動きを知覚させる新しい動きの錯視の決定因を調査し、発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、アニメーション動画における動きの表現の使用実態の把握を行い、静止画における表現との違いを検討する。また実験心理学的に、動きの表現の効果の妥当性について調べる。アニメーションにおける動きの表現の把握には膨大な労力が必要となることが予想される。これに対してはアルバイトを大量に動員することによって乗り切る予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
ワークステーションに当初予定より安価で性能がよいものが発売されたこと、アルバイトによる調査が予定より早く終了したこと等による。 H26年度は大量のアルバイト時間が見込まれるため、主にこの雇用費用にあてる。論文の発表等も計画しており、論文掲載費や、場合によっては英文校正費にあてる予定である。次年度の実験の準備をすすめるため、心理実験のための器具、消耗品等も購入する予定である。
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