研究課題/領域番号 |
25550005
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高橋 幸弘 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50236329)
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研究分担者 |
岡 和彦 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00194324)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 偏光 / 衛星 / リモートセンシング |
研究概要 |
飛翔体を利用したリモートセンシングは、災害監視と環境計測などの目的に対して非常に有力な手段であるが、その場計測に比べると得られる情報は限られてくる。その中で注目されているのが光の偏光情報である。スペクトル観測だけでは難しい樹種の判別や、雲・エアロゾル粒子の粒径分布の推定、河川や湖沼、さらに洪水地域を含む陸水分布の把握、海洋計測での太陽反射の影響の除去等、リモートセンシングの可能性を大きく拡大する切り札である。しかし、従来の偏光板をモーターで回転させる計測では、装置のサイズ、重量、計測時間などの点で飛翔体搭載に向かないため、普及は進んでいない。本研究では、可動部や電気素子を一切用いない画期的な偏光計測技術を応用し、超小型衛星や無人航空機にも搭載可能な偏光カメラの開発を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
将来の衛星搭載を念頭に置いた、サバール板を用いた偏光計のプロトタイプの設計を行った。同原理によるこれまでの偏光計は大型のものが多かったため、衛星に搭載できる大きさにする必要があった。また利用できる機器も衛星用に制約があるため、それらのパラメータに最適化を行った。これらを踏まえて、衛星搭載用のプロトタイプの製作を進めた。また、それと平行して、同原理に基づく偏光計の実験室モデルを用いて、散乱物体測定の基礎実験を行った。これまでの同原理による偏光計の実証実験は、主に、光を直進透過させる透明物体を用いて行われており、リモートセンシングが対象とするような強散乱体への適用はあまり行われていなかった。そこで、強散乱体を測定試料としたときにどのような問題が生じうるか、さらにはそれについてどのように解決すべきかについて詳細な検討を行った。その結果、物体の照明条件によってはスペックルが大きな問題となりうることを見出し、それを受光ないし照明条件の調整によって緩和できることなどを示した。
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今後の研究の推進方策 |
1) 衛星搭載用プロトタイプを完成させ、その後、北海道大学・創成研究機構・宇宙ミッションセンター及び隣接する北海道立総合研究機構・工業試験場の各種環境試験設備を利用して、飛翔体搭載に必要な耐久性などを確認する。その後、北海道大学・北方生物圏フィールド科学センターの森林圏ステーションにあるタワーおよび可能であれば小型無人飛行機に搭載し、森林、海洋、陸水などのフィールド試験観測を実施し、性能の評価と問題点を整理する。 2) 既存の素子を使った偏光観測装置を用いて、森林、海洋、陸水などの観測を実施し、偏光観測の応用範囲を開拓すると同時に、それらの情報をカメラ開発に反映させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでの同原理による偏光計の実証実験は、主に、光を直進透過させる透明物体を用いて行われており、リモートセンシングが対象とするような強散乱体への適用はあまり行われていなかった。そこで、強散乱体を測定試料としたときにどのような問題が生じうるかについて詳細な検討を行った。その結果、物体の照明条件によってはスペックルが大きな問題となりうることが判明した。この問題は、受光ないし照明条件の調整によって緩和できることなどが明らかになったが、この解決の道筋をつけるのに時間を要した。そのため、当初予定していた作業計画に遅れが生じ、それに伴って予算執行も後ろにずれることになった。 26年度は、当初25年度中に予定していた作業を完了させ、さらに当初の26年度の目標も達成することを目指す。すなわち、1) 衛星搭載用プロトタイプを完成させ、飛翔体搭載に必要な耐久性などを確認する。その後、森林タワーおよび可能であれば小型無人飛行機に搭載して試験観測を実施し、性能の評価と問題点を整理する。2) 既存の素子を使った偏光観測装置を用いて、森林、海洋、陸水などの観測を実施し、偏光観測の応用範囲を開拓すると同時に、それらの情報をカメラ開発に反映させる。
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