研究課題/領域番号 |
25550006
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
王 青躍 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (30344956)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 大気エアロゾル / 花粉アレルゲン / 花粉微小化 / 共通抗原 |
研究概要 |
大気汚染等の原因となる有機エアロゾルが人為的な一次排出、並びに光化学反応による二次生成が報告されている。また、都市部において、アレルゲンやウィルス感染の増加傾向が顕著にみられており、花粉アレルゲン微小粒子の化学変質の発見だけではなく、大気汚染物質による複合有機エアロゾルの形成も重要視されている。しかし、既存の有機エアロゾル計測法では、煩雑な前処理でGC-MS等による組成計測しかできず、分子間相互作用の度合も評価できない。よって、極性有機エアロゾルの排出・変質機構等を評価することができる新たな環境計測ツールの開発が求められている。大気バイオエアロゾルの化学的性状と濃度変化特異的に測定するための新しい環境計測ツール構築を目指し、金表面プラズモン法(Surface Plasmon Resonance, SPR)の現象を発展させ、生体分子と大気バイオエアロゾル中の標的活性分子の特異的相互作用、速度論的相互作用を解析し、エピトープマッピング(結合サイトの解析)、リガンドフィッシング、質量変化などを測定し、高速・高感度の新しい計測技術として開発する。バイオエアロゾル中の花粉アレルゲンなどの特定活性分子の汚染動態把握のための高感度の新しい環境計測ツールを確立させ、その発生源寄与率解析に加え、分子間総合作用の度合・生体への毒性度合の化学性状を精細に把握することで、大気環境化学計測分野への適用を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エアサンプラー、既設の分析装置によって、花粉アレルゲンなどの活性タンパク質を解明し、文献調査によるデータ蓄積を行った。また、フィールド調査とともに、粒径別のアレルゲンの捕集・分析法を行い、その化学成分や存在形態が人為的・自然起源のとの関連性を調査し、自然起源のアレルゲン中の標的活性分子の化学的性状と濃度変化をSPRによって特異的に検出するための様々なSPRセンサーチップを試作し、花粉アレルゲンのようなバイオエアロゾルの動態を把握するための高感度の新たな大気環境化学計測ツールの開発のための基礎を構築した。特に、タンパク質・アレルゲン系:バイオエアロゾルの長寿命センサーチップ(結合→平衡→解離→再生→結合)の特性を利用し、その利用条件に合わせて研究を進めて来ている。
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今後の研究の推進方策 |
初冬に出現する高濃度大気汚染時の各種標的活性分子の排出挙動・変動調査への適用検討 日本特有のアレルゲン・共通抗原を含む成分の寄与率推定値との比較代表的キャプチヤー生体分子の固定化方法を活用した汎用性・特異性SPRセンサーチップの開発・応用を目指す。トレーサとなる様々な活性成分の新規固定化センサーチップを開発し、人体呼吸器系に吸入毒性のある汚染化学種(化学的変性・変異原性によるアレルギー症状悪化)を計測・評価るため、酵素免疫測定法(ELISA法)、電気泳動用蛍光ゲルピッカーを用いて、指標抗原の特異的計測法を検討し、抗原活性・変異原性変化から、化学的変性、複合有害バイオエアロゾルの排出挙動評価への応用にも試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
初冬~夏季に出現する高濃度大気汚染時の各種標的活性分子の排出挙動・変動調査への適用検討するため。 アレルゲンを計測・評価るため、酵素免疫測定法(ELISA法)、電気泳動用蛍光ゲルピッカーを用いて、指標抗原の特異的計測センサーチップの開発も試み、抗原活性・変異原性変化から、化学的変性、複合有害バイオエアロゾルの排出挙動評価への適用も検討する。
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