本研究では,熱帯および亜熱帯における沿岸植生であるマングローブの群落動態における胎生種子の影響を評価することを目的として,3ヵ年で様々な研究を行った.沿岸環境の中でも本研究では沿岸潟湖に着目し,まず胎生種子の浮遊分散が生じる汽水環境に関する塩分成層を解析できるモデルを構築した.次に,周囲の塩分に応じたマングローブ胎生種子の浮遊特性に関する室内実験を,スリランカの現地で採取した種子を用いて行った.更にスリランカの現地における潟湖塩分の人為的地形改変に伴う変化と,これに応じたマングローブ群落の変化を解析した.これらに基づき,潟湖塩分や波のスケールによる胎生種子の輸送速度に関するモデルを提案した.
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