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2013 年度 実施状況報告書

放射性同位体を全く使用しない細菌生産速度測定法の開発と確立

研究課題

研究課題/領域番号 25550019
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関独立行政法人国立環境研究所

研究代表者

今井 章雄  独立行政法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, センター長 (40203286)

研究分担者 佐野 友春  独立行政法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 主任研究員 (10178808)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード細菌生産速度測定法 / 非放射性同位体
研究概要

本研究では、安定同位体である質量数15の窒素でラベルしたデオキシアデノシン(15N-dA)を用いて、湖沼及び海洋の自然細菌群集に取り込ませ、その取り込み量を測定することで細菌生産を見積もることを目的とした。2013年度は、既存の細菌生産測定法である、放射性同位体を用いたチミジン法(3H-TdR)との比較を、霞ヶ浦の湖水及び相模湾の海水を用いて実施した。3H-TdR法と15N-dA法は、霞ヶ浦及び相模湾のそれぞれ4地点から試水を採取し実験に用いた。培養条件は、培養温度を10℃、15℃、20℃、25℃、30℃の5条件に設定し、3H-TdR及び15N-dAをそれぞれ最終濃度50 nMになるように添加して5時間培養した。その結果、3H-TdR及び15N-dAの取り込み速度(pmol/L/h)は、海洋のサンプルでも湖沼のサンプルでも有意な関係を示したことから、既存の細菌生産測定法との互換性が確認され、15N-dA法による細菌生産測定法の有効性が示された。
海洋では15N-dAの取り込み速度は3H-TdRと比べて高い値を示し、湖沼ではその逆の傾向を示した。バクテリアの分類群によって、外部から取り込んだヌクレオシドをDNA合成へ使用できる能力の多寡が報告されている。また、TdRとdAは水中ではそれぞれ負、正に帯電すると考えられるため、試水へ添加した際に懸濁・溶存物質への吸着などによりこれら基質の可用性が異なり、細菌の取り込み速度の違いをもたらすかもしれない。今後は、バクテリアの分類群による取り込み能の違いなどの生物学的側面と、基質の水中での可用性の違いなどの物理化学的側面の両面から、15N-dAと3H-TdRの取り込み速度の違いをもたらしたメカニズムを明らかにする必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、安定同位体である質量数15の窒素でラベルしたデオキシアデノシン(15N-dA)を用いて、湖沼及び海洋の自然細菌群集に取り込ませ、その取り込み量を測定することで細菌生産を見積もることを目的とする。
2013年度は、既存の細菌生産測定法である、放射性同位体を用いたチミジン法(3H-TdR)との比較を、霞ヶ浦の湖水及び相模湾の海水を用いて実施した。3H-TdR法と15N-dA法は、霞ヶ浦及び相模湾のそれぞれ4地点から試水を採取し実験に用いた。
その結果、3H-TdR及び15N-dAの取り込み速度(pmol/L/h)は、海洋のサンプルでも湖沼のサンプルでも有意な関係を示した。従って、既存の細菌生産測定法との互換性が確認され、15N-dA法による細菌生産測定法の有効性が示された。したがって、本研究の目的の半分以上は達成されたと思われる。

今後の研究の推進方策

海洋では15N-dAの取り込み速度は3H-TdRと比べて高い値を示し、湖沼ではその逆の傾向を示した。バクテリアの分類群によって、外部から取り込んだヌクレオシドをDNA合成へ使用できる能力の多寡が報告されている。また、TdRとdAは水中ではそれぞれ負、正に帯電すると考えられるため、試水へ添加した際に懸濁・溶存物質への吸着などによりこれら基質の可用性が異なり、細菌の取り込み速度の違いをもたらすかもしれない。今後は、バクテリアの分類群による取り込み能の違いなどの生物学的側面と、基質の水中での可用性の違いなどの物理化学的側面の両面から、15N-dAと3H-TdRの取り込み速度の違いをもたらしたメカニズムを明らかにする必要がある。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額が発生した理由は二つある。(1)ブロモデオキシウリジン(BrdU)法に使用する化学発光装置の基盤ユニットが故障し修理不可能と診断され、修理に200万円強かかることは判明したため、当該装置の使用を諦めたため;(2)使用している実験施設においてアスベスト除去工事が実施され約半年近く、まともな実験ができなかったため。以上の理由により、次年度に研究費を繰り越すことが妥当と判断した。なお、BrdU法のための化学発光装置については、所外の研究協力者の保有する同一機器を、限定的ではあるが、使用できることになった。
現状ではBrdU法関係の測定を頻度高く実施できないため、15Nデオキシアデノシン(15NdA)法に重点を置き、当該法に係る研究・測定を集中的に実施する計画である。当該計画の遂行のために次年度使用額を実験用消耗品と人件費に充てる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] 相模湾沿岸域における細菌へのボトムアップおよびトップダウン制御の季節変化2014

    • 著者名/発表者名
      菅井洋太・土屋健司・今井章雄・浜崎恒二・菊池知彦・戸田龍樹
    • 学会等名
      2014年日本海洋学会春季大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20140326-20140330
  • [学会発表] 相模湾真鶴港に優占するカイアシ類Acarita steueriの細菌生産への寄与2014

    • 著者名/発表者名
      中村賢一・土屋健司・Kam W. Tang・高橋一生・浜崎恒二・今井章雄・戸田龍樹
    • 学会等名
      2014年日本海洋学会春季大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20140326-20140326
  • [学会発表] Typhoon-induced primary production and microbial processes below the euphotic layer in temperate coastal waters, Japan2013

    • 著者名/発表者名
      Tsuchiya K. Kawahara V.S., Hamasaki Y., Tada A., Imai A., Kikuchi T., Toda T.
    • 学会等名
      ECSAte and Ocean & Coastal Management
    • 発表場所
      Shanghai, China
    • 年月日
      20131013-20131017
  • [学会発表] Typhoon-driven variations of phytoplankton and bacterial production in the coastal waters of Sagami Bay, Japan2013

    • 著者名/発表者名
      Tsuchiya K., Kuwahara V.S., Hmasakai Y., Tada Y., Imai A., Ichikawa T., Kikuchi T., Toda T.
    • 学会等名
      Japan Geoscience Union Meeting 2013
    • 発表場所
      Chiba, Japan
    • 年月日
      20130519-20130524

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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