• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実績報告書

放射性同位体を全く使用しない細菌生産速度測定法の開発と確立

研究課題

研究課題/領域番号 25550019
研究機関独立行政法人国立環境研究所

研究代表者

今井 章雄  独立行政法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 研究センター長 (40203286)

研究分担者 佐野 友春  独立行政法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 主任研究員 (10178808)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード細菌生産速度測定法 / 非放射性同位体
研究実績の概要

本研究では、安定同位体である質量数15の窒素でラベルしたデオキシアデノシン(15N-dA)を用いて、水圏環境中の自然細菌群集に取り込ませ、その取り込み量を測定することで細菌生産を見積もることを目的とした。
2014年度は、既存の細菌生産測定法である放射性同位体を用いた、DNA合成速度を見積もるチミジン法(3H-TdR)及び、タンパク質合成速度を見積もるロイシン法(3H-Leu)との比較を、相模湾沿岸域の海水を用いて実施した。実験は、採取した海水に、15N-dA、3H-TdR、3H-Leuをそれぞれ最終濃度50 nMになるように添加し、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃に設定したインキュベータ内において数時間培養を行った。その結果、15N-dAは0.62-1.8 × 102 pmol L-1 h-1、3H-TdRは0.31 ~ 3.2 × 102 pmol L-1 h-1、3H-Leuは4.2-8.4 × 102 pmol L-1 h-1の取り込み速度を示した。また、15N-dAと3H-TdRまたは3H-Leuの取り込み速度は、それぞれ有意な正の相関を示し([15N-dA] = 0.55 × [3H-TdR]-4.1; n = 20, r = 0.99, p < 0.001、[15N-dA] = 0.051 × [3H-Leu]-0.35; n = 18, r = 0.99, p < 0.001)、15N-dA法において、既存の放射性同位体で測定されるDNA合成速度(3H-TdR)及びタンパク質合成速度(3H-Leu)を正確に見積もることが可能であることが示唆された。15N-dA法は、3H-TdR法と同じくDNA合成速度を見積もる方法であるが、それらの取り込み速度の線形回帰の傾きは1を下回った(0.55)。生物学的な原因として、細菌の細胞外ヌクレオシドを原料としてDNA合成を行う能力の有無などが考えられ、方法論的な原因として、3H-TdR法における放射性同位体の非特異的標識などによる取り込み速度の過大評価などが考えられる。
結果として、海水サンプルに対しては、放射性同位体を全く使用しない細菌生産速度測定法が開発されたと言える。現在、当該測定法に係る論文投稿・審査中である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 放射性同位体を全く使用しないバクテリア生産量測定法の開発2015

    • 著者名/発表者名
      土屋健司、戸田龍樹、川崎伸之、佐野友春、冨岡典子、今井章雄、福田秀樹、浜崎恒二、多田雄哉、下出信次
    • 学会等名
      第49回日本水環境学会
    • 発表場所
      金沢大学(金沢市)
    • 年月日
      2015-03-16 – 2015-03-18

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi