東南極域では、数十年に一度の降雪といわれる降雪が頻出するようになり、その原因解明が課題となっている。本研究では、砕氷船「しらせ」を使って豪州~南極昭和基地間の水蒸気同位体の連続観測を実施し、大雪を引き起こす水蒸気が南極大陸へ輸送されるメカニズムの解析を行った。大雪は、北風によって海洋域から湿った水蒸気が大陸内部に流れ混み発生する。本研究では、海洋性気団の流入を水蒸気同位体データから検出できることを指摘し、昭和基地周辺が海洋性気団に覆われる際には大規模循環場によって北風が強化されていることを明らかにした。近年観測される大雪は、南半球の大気循環場の変化を反映していると解釈できる。
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