研究課題/領域番号 |
25550026
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 純也 京都大学, 放射線生物研究センター, 准教授 (30301302)
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研究分担者 |
本田 浩章 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (40245064)
加藤 晃弘 京都大学, 放射線生物研究センター, 研究員 (70423051)
小松 賢志 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (80124577)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | DNA修復 / 相同組換え / 非相同末端結合 / 放射線 / DNA損傷 |
研究概要 |
原爆被ばく者の疫学調査研究は被ばく時年齢がゼロ歳では成人の約2倍の放射線感受性を示すことから胎児を含めた年少者の放射線高感受性と考えられている。しかし、マウスでは異なる報告あり、本研究では、胎児及び新生児の放射線高感受性の原因と見なされる分裂能力の最も大きい細胞の代表として胚性幹(ES)細胞を取り上げ、ゲノムDNAの特定座位に導入した相同組み換え(HR)と非相同末端再結合(NHEJ)レポーター遺伝子を用いて、それぞれのDNA修復能を分裂能力が低い分化細胞と比較検証するのが目的である。 研究初年度である25年度は全身で蛋白質産物を発現できる遺伝子ROSA26のプロモーター領域を利用したDNA修復測定コンストラクトを、それぞれHR修復、NHEJ修復について作製して、ES細胞に導入することとした。そしてNHEJでは、Jochen Dahm-Daphi博士らが開発したpEJベクターのCMVプロモーター領域をROSAプロモーターに交換したコンストラクト(ROSA-NHEJ)を作製することができた。作製コンストラクトはES細胞に導入して薬剤マーカーでセレクションした後、サザンブロット法で確認することにより、ROSA-NHEJが1コピーのみ導入されたES細胞を複数得られた。そのうち、4クローンについてI-SceIによりDNA二重鎖切断を発生させてGFP陽性細胞のflow cytometerによりROSA-NHEJの正常な機能を確認するとこれら4クローンともGFP陽性細胞が出現し、これら4つのES細胞の樹立が確認でき、平成26年度の分化実験に使用する予定である。 また、HRについてはM. Jasin博士らによって開発されたDR-GFPコンストラクトのCMVプロモーター領域をROSAプロモーターに交換したコンストラクト(ROSA-DRGFP)を作製することができ、現在これらコンストラクトをES細胞への導入を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、原爆被ばく者の疫学調査研究で得られている被ばく時の年齢がゼロ歳であると成人の2倍程度の放射線感受性を示すことから胎児を含めた年少者の放射線高感受性が一般に受け入れられている事実について、マウスでは異なる結果も報告されていることから、胎児および新生児の放射線高感受性の原因と見なされる分裂能力の最も大きい細胞の代表として胚性幹(ES)細胞を取り上げ、ゲノムDNAの特定座位に導入した相同組み換えと非相同末端再結合得ポーター遺伝子を用いて、それぞれのDNA修復能を分裂能力が低い分化細胞と比較検証するのが目的である。 放射線DNA損傷の修復はNHEJ及びHRの主に二つの機構で修復されるが、これらの修復機構の利用割合は細胞の状況や細胞の種類で変わることが示唆されている。それ故、まず最初にNHEJ、HRそれぞれ独立して客観的に修復活性を測定するシステムを作製する必要があるが、本研究では既にNHEJについてはES細胞へのコンストラクトの導入を終えており、さらにはそれら樹立細胞が修復活性測定に使えることが確認できている。また、HRについても既にコンストラクトの作製は順調に終えており、達成度の評価として、概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度研究においては既にNHEJ活性測定用のES細胞は作製完了している。HR活性測定についてはまだ細胞作製途上であるので、ROSA-DRGFP導入細胞を薬剤選択、サザンブロット法で1コピー導入を確認し、その後、I-SceIによりDNA二重鎖切断を発生させてGFP陽性細胞のflow cytometerにより、樹立細胞が正常にHR活性測定をできるか、確認する。 これにより、NHEJ, HR測定用ES細胞が樹立できた後は、ES細胞からの分化誘導(心筋細胞、ドーパミン作動性ニューロン等)への方法を確立した後、それらの細胞に制限酵素I-SceI発現ヘベクターを導入して、二重鎖切断を誘導し、HR、あるいはNHEJ修復により、GFP陽性となった細胞をフローサイトメーターで解析する。このことにより、未分化ES細胞と分化細胞でのDNA修復活性の変動の有無を明らかにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
相同組換え修復活性測定用ES細胞(ROSA-DRGFP)の作製完了の予定が少し繰り延べになったため、ES細胞の機能確認のために使う試薬剤に予定した金額に少し残額が生じた。 相同組換え修復活性測定用ES細胞(ROSA-DRGFP)作製は26年度初頭に完了する予定であり、この作製できた細胞の機能確認実験のために、25年度で残った額を使用するつもりである。
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