研究課題
挑戦的萌芽研究
1細胞広範シーケンス技術に基づく放射線の突然変異誘発率の測定を試みるべく、25年度にはその方法論の確立を進めた。1細胞を96ウェルプレートにFACSを用いて分離する方法を検証し、実際に細胞が2細胞に分裂する事を確認した。分裂した細胞をさらに1細胞毎に分離する培養技術も確立した。この過程において当初の計画で用いる予定であったヒト正常線維芽細胞TIG-3細胞よりも培養に適していると判断したHT1080細胞を実験に使用する事とした。1細胞からのDNA抽出とDNA増幅の技術確立も行った。DNAを増幅する方法としては計画段階ではMDA(Multiple Displacement Amplification)法の使用を予定していたが、複数ある他の方法も検証した結果、MALBAC法にてDNA増幅を行うように変更した。また、実際にSure Selectオリゴプローブにて濃縮可能なDNA量が確保出来るかどうかについても検証を行い、プロトコル通りのDNA量は確保することは難しいが、増幅可能であったDNA量においてもDNAの濃縮が可能であることを確認した。1細胞に放射線照射した後に数回分裂させて細胞数を確保した後に各1細胞を単離する方法論についても検証した。複数の方法を試した結果、本実験においてはレーザーマイクロダイセクション法が適していた。シーケンス後のデータ解析方法についても疑似サンプルのデータ解析を試み変異解析可能なパイプラインの構築に成功した。
2: おおむね順調に進展している
1細胞の培養方法、単離、DNA増幅の方法などを各ステップを初年度に充分に検証できており、これらの方法を組み合わせれば目的の放射線誘発変異測定に必要な情報が今後充分に得られるものと考えられる。
26年度は実際に1細胞に放射線を当てて変異導入率の測定を行う。当初の予定ではSure Selectオリゴプローブ濃縮による一部領域のみの検証の予定であったが、変異導入率次第では全ゲノムシーケンスについても検討を行っている。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Cancer Cell.
巻: 24(3) ページ: 305-17
10.1016/j.ccr.2013.08.011