研究課題
挑戦的萌芽研究
平成25年度には、化学発がん物質であるベンゾ[a]ピレンによるDNA付加体について検討した。まずはじめに、免疫沈降反応に使用するための抗体の選定を目的として、ベンゾ[a]ピレン活性代謝物(BPDE)のデオキシグアノシン(dG)付加物を導入した15merのオリゴDNA(立体配置の異なる2種)を用いて市販されている抗BPDE-DNA抗体の反応性について検討した。本検討は、すでに報告されているマイクロ流路チップを用いた極微量の電気泳動法を活用したゲルシフトアッセイにて実施した。コントロールオリゴDNAおよびBPDE付加オリゴDNAは単一ピークとして検出されたことから、いずれのオリゴDNAも良好に分離されていると考えられる。これらのオリゴDNAに対して抗BPDE-DNA抗体を処理し電気分離法でバンドシフトを測定した結果、コントロールオリゴDNAだけでなくBPDE付加オリゴDNAも抗体用量依存的なバンドの移動は認められず、今回用いた抗体はBPDE付加オリゴDNAに対する反応性が低いものと考えられる。したがって、新たに1種の抗BPDE-DNA抗体を検証するとともに、ベンゾ[a]ピレン以外のDNA損傷性物質(たとえば、シスプラチンやアセチルアミノフルオレンなど)によるDNA付加体に対する特異抗体についても反応性を評価する。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度は、特異抗体の選定、DNAの断片化、免疫沈降反応の実施を目標としていた。DNA断片化および免疫沈降反応については、すでに確立された方法論であるため、抗体の選定が律速と考えられる。現在のところ、免疫沈降反応に使用可能な反応性の高い抗体は未同定であるが、マイクロ流路チップを用いた極微量の電気泳動法を確立しベンゾ[a]ピレン以外のDNA損傷性物質にも検索範囲を広げて検討するため、短期間で適切な抗体が選定できると考えられる。
平成26年度は、早期に抗体を選定しシーケンシス解析へと進めたい。シーケンス解析の実施にあたっては外部機関を活用する予定だが、費用が高額になるため国内共同研究も視野に入れて遂行する。
平成25年度の最終物品費について、平成25年度残額に平成26年度支給額を合算して執行するために繰越が生じた。平成25年度の最終物品費について、平成25年度残額に平成26年度支給額を合算して執行する。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
J. Res. Inst. Meijo Univ.
巻: 13 ページ: in press
Development
巻: 141 ページ: 269-280
10.1242/dev.099622