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2014 年度 実施状況報告書

発がん物質による立体的遺伝子損傷:ゲノムワイド解析による配列特異性と脆弱性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25550036
研究機関名城大学

研究代表者

岡本 誉士典  名城大学, 薬学部, 助教 (50512323)

研究分担者 小嶋 仲夫  名城大学, 薬学部, 教授 (80333178)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードDNA損傷 / 配列特異性 / 紫外線照射 / マウス胚性幹細胞 / 未分化因子 / シクロブタン型ピリミジンダイマー
研究実績の概要

前年度に検討した抗BPDE-DNA抗体に加えて、新たに別のBPDE-DNA抗体および紫外線照射により生成するシクロブタン型ピリミジンダイマー(CPD)に対する抗体を検討した。その結果、抗CPD抗体のみきわめて良好にDNA損傷を認識できることが明らかとなった。この抗CPD抗体を用いて、強度の異なるUVC(10あるいは100mJ/cm2)の照射で生成するマウス胚性幹細胞のゲノムDNA損傷を継時的に測定した。低照射群では、UVC照射直後からCPD量が上昇し、24時間後にはほぼ完全に修復が完了していた。一方、高照射群では、照射直後に低照射群と比べておよそ2倍のCPD生成が認められ、24時間後にはおよそ半分が除去されていた。この時、マウス胚性幹細胞の未分化状態の維持に関連している因子の発現レベルをリアルタイムRT-PCR法により測定した結果、UVC照射後3時間に発現低下が認められたが、CPD量に相関するように24時間後まで徐々に発現が回復した。したがって、今回の照射レベルにおいて、細胞の未分化状態に影響を及ぼすのに十分なCPDが生成していると考えられる。このUVCを照射したマウス胚性幹細胞からゲノムDNAをマイクログラムオーダーで回収し、超音波破砕機によっておよそ150bpとなるように断片化した。本断片化サンプルに対して、抗CPD抗体を用いて免疫沈降法により損傷DNAを回収し、次世代シーケンサーによりDNA損傷配列特異性の確認を試みたが、シーケンシングに十分なDNA断片を回収することができなかった。したがって、研究期間を1年間延長し、抗体の反応特異性に依存しないDNA損傷の配列特異性を検出するための方法論について継続して検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまでに良好な反応性を示すDNA損傷検出抗体[抗シクロブタン型ピリミジンダイマー(CPD)抗体]を選定した。また、この抗CPD抗体を用いてマウス胚性幹細胞に対するゲノムDNA損傷レベルおよび修復パターンを明らかにするとともに、未分化状態の決定因子の発現変動を明らかにできた。しかしながら、本課題の目的であるDNA損傷の配列特異性を明らかにするための免疫沈降反応を利用した次世代シーケンシングによるタイリング解析を試みたが、シーケンシングに十分な品質のDNA断片を調製することができなかったため、研究期間を1年間延長した。以上のことから、本課題は「やや遅れている。」と判断した。

今後の研究の推進方策

本研究において、複数回にわたってUVC照射によるDNA損傷配列特異性の解析を試みたが、シーケンスに適したDNAサンプルの調製には至っていない。この原因として、DNAサンプルの調製が抗体反応に依存しているためであると考えられる。したがって、UVC照射によるDNA損傷によってマウス胚性幹細胞のゲノムDNAに導入された変異の配列情報をゲノムワイドに解析するなどの方法を用いて、DNA損傷配列特異性の解析を試みていく。

次年度使用額が生じた理由

平成26年度内に実施を予定していた次世代シーケンシングの委託分析を予定していたが、サンプルの純度および濃度等に不備があり何度トライしても改善が見込めなかった為、その依頼分析自体を見直すこととなったため、繰越金が生じた。

次年度使用額の使用計画

平成27年度は、DNAのサンプリング条件を精査するとともに、解析手法の見直しを図り、年度内でのDNA損傷配列特異性の解明を試みる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Oral administration of Brazilian propolis exerts estrogenic effect in ovariectomized rats.2015

    • 著者名/発表者名
      Okamoto Y., Tobe T., Ueda K., Takada T., Kojima N.
    • 雑誌名

      J. Toxicol. Sci.

      巻: NA ページ: NA

    • DOI

      http://doi.org/10.2131/jts.40.235

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Thiol-mediated multiple mechanisms centered on selenodiglutathione determine selenium cytotoxicity against MCF-7 cancer cells.2015

    • 著者名/発表者名
      Tobe T., Ueda K., Ando M., Okamoto Y., Kojima N.
    • 雑誌名

      J. Biol. Inorg. Chem.

      巻: NA ページ: NA

    • DOI

      10.1007/s00775-015-1254-6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Neural differentiation of pluripotent stem cells and application for metal-induced neural toxicity study.2014

    • 著者名/発表者名
      Taniguchi Y., Tobe T., Hayami H., Okamoto Y., Ueda K., Takada T., Kojima N.
    • 雑誌名

      Yakugaku Zasshi

      巻: 134 ページ: 793-795

    • DOI

      http://doi.org/10.1248/yakushi.14-00017-3

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Effects of organic and inorganic mercury(II) on gene expression via DNA conformational changes.2014

    • 著者名/発表者名
      Ueda K., Makino R., Tobe T., Okamoto Y., Kojima N.
    • 雑誌名

      Fund. Toxicol. Sci.

      巻: 1 ページ: 73-79

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 紫外線曝露によるマウス胚性幹細胞のp53非依存的細胞死2014

    • 著者名/発表者名
      清水優希、戸邊隆夫、岡本誉士典、植田康次、高田達之、小嶋仲夫
    • 学会等名
      フォーラム2014:衛生薬学・環境トキシコロジー
    • 発表場所
      つくば
    • 年月日
      2014-09-19

URL: 

公開日: 2016-06-03  

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