本研究の目的は、細胞内小器官の間に放射線ストレス応答に関する協調(シナジー)効果があるかどうかを探ることにある。私たちはATP生産を担うミトコンドリアに着目し、その動態変化をライブセルイメージングにより追跡する手法を確立した。さらに放射光X線マイクロビームを利用して細胞の部分照射を行った後、その活性部位の変化を観察した。その結果、細胞質のみに照射することで遅延的な活性部位の増加が生じることを見出したが、核が照射されることでこれが阻害された。以上の結果は、細胞小器官の間に、放射線ヒットの情報を伝達するシナジー効果が存在することを示唆している。
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