研究実績の概要 |
これまで、イヌネコ体内と日常的に摂食するペットフード中微量元素レベルに着目して実験を遂行してきた。まずドッグフード20サンプル(ドライタイプ10試料、ウェットタイプ10試料)と、キャットフード19サンプル(ドライタイプ10試料、ウェットタイプ9試料)中微量元素レベルを比較した結果、ドッグフードで有意に高値を示した元素は、Mg、Cr、Mn、Co、Ni、Zn、Rb、Pbの8元素であり、キャッフードで有意に高値を示した元素はCu、Ga、As、Mo、Snであった。水銀の中央値はキャットフードの方が相対的に高値を示したが、有意差はみられなかった。これらの元素がイヌネコ体内に反映していることが予想されたことから、イヌとネコの肝臓、腎臓、脳中微量元素を測定し、それらレベルを比較したところ、イヌよりもネコで高値を示した元素はLi、Ga、As、Ag、In、Sn、Sb、Pb、Biであった。一方、イヌの方がネコよりも高値であった元素は、Fe、Rb、Cd、Hgであった。ネコ体内でイヌより高値を示したGa、As、Snは、キャットフードにおいてもドッグフードより高値であったことから、キャットフードが反映していることが考えられた。Pbはキャットフードよりもドッグフードの方が高レベルであったにもかかわらず、ネコの方がイヌよりも体内レベルが高かった。そこで別の暴露源としてハウスダストの微量元素レベルを測定した。その結果、ペットフードでは検出されないがハウスダストで検出された元素は、Ag、In、Sn、Tl、Biであり、ペットフードよりもハウスダストで有意に高値であった元素はLi、Mg、V、Cr,Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Sr、Cs、Ba、Cd、Pbであった。ネコ体内で高値を示したAgとInはハウスダスト由来であることが考えられた。またネコはイヌよりも高値を示した元素が多かったことから、ネコはイヌよりも微量元素暴露を体内に反映しやすいことが推察された。
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