研究課題/領域番号 |
25550048
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
鈴木 和良 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 主任研究員 (90344308)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際研究者交流・米国 / 質量収支 / 降雪 / 積雪 / 氷床 / 流出 |
研究概要 |
平成25年度は、グリーンランド氷床の質量収支推定の推定誤差を調査するため、2002年8月1日から2003年9月30日までの気候モデルによるシミュレーションを行い、グリーンランド氷床の表面質量収支の再現性について、他の独立したデータと比較検証した。その結果、冬期の気候モデルの再現性にとって、SST(海面水温)が極めて重要である事と、グリーランド氷床周辺の海氷被覆分布の与え方が重要であることが明らかになった。その他、以下のことを行った。 ◎コロラド州立大学・大気共同研究所の研究協力者・Milija Zupanski博士を平成25年8月5日から8月9日までの日程で招聘し、データ同化システム開発に関するディスカッションならびに同化システムをJAMSTEC所有の大型計算機に移植した。もう一人の共同研究者であるSebastian H. Mernild博士は、平成26年度に招聘を行い、共同研究をすすめることになった。 ◎データ同化に用いるためのグリーンランド氷床で得られた人工衛星による観測データについて調査を行った。特に、重量観測衛星GRACEと高度計測衛星ICESATのデータ似ついて、気候モデルの出力と比較検討を行った。その結果、定性的に一致することを確認した。 ◎大気陸面結合データ同化システムについて開発を行い、一般気象観測データが同化できる様、観測演算子を開発して実装した。 ◎GRACEデータの有効性を確認するため、レナ川貯留量との関連について調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究計画について、それぞれで実施した内容について記す。 ●2003年~2013年までの観測データ(GRACEによる重力測定データ、レーザー高度計に表面高度データ、並びに気象データPrepBUFR)を入手し、京都大・松尾博士の協力によって整備を行った。 ●地域気候モデルを用いたデータ同化システムの開発をコロラド州立大学のMilija Zupanski博士を招聘する事で、JAMSTEC内の大型計算機を用いて行った。それと同時に、大気ー陸面結合に関する実験を共同で行った。 ●重力測定ならびに高度計測データを同化するための観測演算子の開発について、それぞれGRACEとICESATのデータについて検討を行った。さらに、Milija Zupanski博士と共に、データ同化手法について検討した。データ同化手法については、今後の課題として残された。 以上のことより、おおむね順調と考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究推進方策として以下について行う。 ●平成25年度に引き続きシステム開発と観測演算子の開発を進める。 ●システム検証に必要となる特別観測等で得られた観測データを入手する。 ●検証データの入手と同化システムの検証を開始する。 ●データ同化システムに関する論文をまとめる。 特に平成26年度においては、ICESATならびにGRACEの観測データを同化するための観測演算子の開発を行い、テストケースに対してデータ同化実験を行っていく予定である。
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