1.研究協力者であるMilija Zupanski博士とその協力者であるDusanka Zupanski博士を海洋研究開発機構横浜研究所に招聘し、グリーンランド氷床における結合データ同化システムの開発を行った。大気陸面結合系のデータ同化のソースコードを作成し、さらに衛星観測データ(GRACEならびにAMSR2)を、データ同化するための観測演算子についてもソースコードを完成させた。最終的に上記で作成されたソースコードが、データ同化システム内で動作することをテスト実験によって確認した。 2.大気陸面結合データ同化システムを用いて、予報誤差共分散と予報誤差相関の構造について考察を行った。大気陸面を結合していない予報誤差共分散と予報誤差相関は、大気陸面を結合した値に比べて妥当性を欠いている点が見られた。さらに、高精度の陸面モデルを用いることで、大気ならびに陸面がデータ同化によってより良くなる事が分かり、陸面過程の精緻化が結合データ同化にとって重要であることが示された。本研究から、大気陸面結合データ同化による結合予報後共分散によって、大気ならびに陸面がより良く修正される可能性が指摘された。この成果は、現在論文として投稿中である。 3.グリーンランド氷床において、本研究で開発されたデータ同化システムが、実際の気象データやGRACEのデータを同化し、良好に動作することを確認した。ある程度の期間、結合データ同化システムによって各種観測を同化し、観測データの貢献度を示すため実験を引き続き行い、そのデータ解析を進めている。本成果は、投稿論文として準備中である。
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