研究課題/領域番号 |
25550052
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
佐藤 一則 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (20143828)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 汚染物質除去技術 / 溶存重金属イオン / 光触媒 |
研究概要 |
固相反応法で作製した10 mol%La2O3-CeO2複合化粒子は、Pb(II)イオンおよびCu(II)イオンに対する光電析活性を示した。一方、共沈法で作製したバルク固溶体の10 mol%La2O3-CeO2粒子は、Pb(II)イオンおよびCu(II)イオンに対する光電析活性を示さなかった。共沈法では凝集して存在する微細粒子であるため、活性サイト消失や光吸収抑制等の影響により光電析活性が発現しなかったと考察した。Cd(II)イオンに関しては全ての試料で光電析活性に対して、有意差は確認できなかった。Zn(II)イオンに対しても同様な傾向を示したことから、相対的に低い標準電極電位と粒子表面へのCd(II)イオン吸着の困難さが原因と考察した。Pb(II)イオン除去試験およびCu(II)イオン除去試験において、微細化固相反応法で作製した10 mol%La2O3-CeO2複合化粒子が最も高い光電析活性を示した。La2O3は微細粒子としてCeO2結晶粒子表面に存在していることから、Pb(II)イオンおよびCu(II)イオンに対する光電析活性の発現はCeO2結晶格子内でのLa3+イオン置換固溶によるものではなく、CeO2結晶粒子表面でのLa2O3微細粒子との接触効果に起因することを見出した。アルゴン及び酸素雰囲気下での重金属イオン除去試験の結果から、水中溶存酸素が光電析反応に寄与していることを見出し、光励起による酸化還元反応メカニズムを明らかにした。以上のことから、La2O3微細粒子はCeO2結晶粒子表面と化学的結合状態を形成することで、光照射により生ずる励起電子とホールの電荷分離効率を高め、生成した正孔による水中の溶存重金属イオンの酸化電析が生ずる反応モデルを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酸化セリウム粒子と酸化ランタン粒子との複合化作用が、鉛イオンに対して高い光電析活性をもたらすメカニズムを明らかにすることができた。他のランタノイド系酸化物に関しても、この効果が認められる可能性を見出した。光電析活性に及ぼす光触媒結晶粒子のバンド構造と活性サイトの関係を、実験結果ならびに理論計算結果から検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
酸化ランタン以外のランタノイド系酸化物に関して、実験と理論計算をさらに進める。これにより、水中の溶存重金属イオンに対する光電析活性を高める要因を明らかにすることを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
光電析活性評価を行うために必要な光分光測定用アタッチメントの仕様を再検討する必要が生じたため。 光分光測定におけるアタッチメントの仕様を新たに設定し、目的とする可視紫外吸収スペクトル測定を行う。
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